
AIに辛口編集レビューをさせる — 3つの評価を統合した改稿プロセス(連載⑭)
連載第14回です。前回・前々回は価格戦略の話が続きました。今回は執筆そのものの話に戻り、原稿を仕上げる段階で行ったAIによる複数視点のレビューについてまとめます。1人で書いた原稿を1人でチェックすると、どうしても見落としが残ります。そこでAIに複数の役割を与え、辛口の指摘をあえて集める工程を作りました。
なぜ「複数のAI評価」が必要だったか
自分で書いた文章を自分だけで読み返すと、内容が頭に入っている分、分かりにくい説明も「分かった気」で読み飛ばしてしまうという問題があります。読者は初見でその文章を読むため、著者本人のチェックだけでは、説明不足や論理の飛躍に気づきにくいものです。
そこで、単一の「良い評価」をもらうのではなく、あえて役割の異なる複数のAI評価を用意し、それぞれの視点から原稿を読ませる工程を組み込みました。
3つの評価軸 — G・C・辛口
改稿プロセスでは、次のような異なる観点からのレビューを組み合わせています。
- 一般読者視点の評価:専門知識のない読者が読んで理解できるか、途中で挫折しないかを重視した評価
- 専門性・正確性の視点の評価:測地系・座標変換という専門分野として、説明に誤りや不正確な単純化がないかを重視した評価
- 辛口の批評視点:あえて褒めずに、構成の弱さ・冗長な説明・根拠が薄い断定などを厳しく指摘させる評価
同じ原稿に対して性格の異なる3種類の評価を集めることで、「読みやすいが不正確」「正確だが読みにくい」「両方満たしているが冗長」といった、単一の評価軸では見えにくい弱点をあぶり出せるようにしています。
評価を「統合」する — 矛盾する指摘をどう扱うか
複数のAI評価を集めると、当然ながら指摘が矛盾する場面が出てきます。たとえば「もっと詳しく説明すべき」という指摘と、「冗長なので削るべき」という指摘が同じ章に対して同時に出ることもあります。
この場合、どちらか一方を機械的に採用するのではなく、その章が誰向けに書かれているか(入門読者向けの章なのか、実務者向けの詳細解説の章なのか)に立ち返って判断するようにしています。評価はあくまで材料であり、最終的な改稿方針を決めるのは著者側の役割として残す、という線引きです。
フェーズ分け改稿 — 一度に全部直さない
評価を統合したあと、改稿は一度にすべて行うのではなく、フェーズを分けて段階的に進めるようにしています。
- まず構成・章立てレベルの大きな指摘(章の順序・欠けている説明など)に対応する
- 次に各章内の説明の正確性・専門性に関する指摘に対応する
- 最後に文章表現・冗長さといった読みやすさレベルの指摘に対応する
構成を直す前に細部の文章を整えてしまうと、あとで章ごと入れ替える際に手戻りが大きくなります。大きな粒度の指摘から順に潰していくことで、後戻りの少ない改稿ができました。
まとめ
- 著者本人によるセルフレビューだけでは、内容を知っている前提で読んでしまい、説明不足に気づきにくい。
- 一般読者視点・専門性視点・辛口の批評視点という、性格の異なる3種類のAI評価を組み合わせて原稿をレビューした。
- 評価どうしが矛盾する場合は、その章の想定読者に立ち返って著者側が最終判断する。
- 改稿は構成→専門性→読みやすさの順にフェーズを分けて進めることで、手戻りを減らした。
次回は、「中学生が3行まとめを再現できるか」という、優しさの品質基準についてまとめる予定です。
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前回2回(連載⑫・⑬)は同日作成のためリンクは公開後に追加します。
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