
AIサブエージェント並列執筆 — 3つの章を同時に書かせて統合するまで(連載④)
連載①の「Kindle本の制作全体像」では、AIサブエージェントに複数章を並行執筆させた場面があったと触れました。今回はその工程を掘り下げます。改訂で欠けていた3つの章を、AIサブエージェントに同時並行で書かせて統合するまでの実録です。
並列執筆の狙い — 速度と均質性
欠けていた章を1本ずつ順番に書いていくと、当然その分だけ時間がかかります。そこで、独立性の高い3つの章について、複数のAIサブエージェントに同時並行で執筆を依頼する方法を取りました。狙いは単純な速度向上だけでなく、全体を通した文体の均質性を保てるかという点も検証したいという意図がありました。
指示書の作り方 — 章別指示・字数目標・トーン見本
並列執筆をうまく機能させる鍵は、事前に用意する指示書の作り込みでした。各章担当のサブエージェントには、次の3点を共通して渡しています。
- 章別指示:その章で扱うべき内容・見出し構成・押さえるべき数値や事実
- 字数目標:章ごとの分量のばらつきを抑えるためのおおよその目安
- トーン見本:完成済みの章(比喩の使い方・「ですます調」の温度感が定まっている章)を1つ指定し、「この章と同じ文体で書くこと」と明示
特に効いたのは、トーン見本を1つ指定するだけで、担当が分かれていても文体の温度感が揃いやすくなったという点です。
並列実行の様子
3つの章を同時にサブエージェントへ依頼し、並行して執筆を進めさせました。各サブエージェントは独立した文脈で作業するため、他の章の執筆状況は分からない状態です。そのため、章をまたぐ用語の表記ゆれ(同じ概念を別の言い回しで説明してしまう、など)が生まれることは想定内としつつ進めています。
統合時に直した箇所
3章分の原稿がそろった後、統合作業で主に直したのは次の点でした。
- 章間参照のズレ:「前の章で説明したとおり」という表現が、実際の章番号と一致していない箇所
- 説明の重複:複数の章で同じ前提知識(例:楕円体高とジオイド高の関係)をそれぞれ一から説明してしまっていた箇所
- 用語の表記ゆれ:同じ概念に対して章ごとに微妙に異なる言い回しが使われていた箇所
これらは、全章を通しで読み直すレビュー工程で拾い上げ、手作業で統一しています。
品質は保てたか — 自己評価
結果として、並列執筆によって全体の執筆速度は上がりましたが、統合作業(章間の整合性チェック)に一定の時間を割く前提であることが前提条件だと感じています。並列執筆=丸ごと時短、ではなく、「執筆の時間を、統合・レビューの時間に付け替えている」という感覚に近いというのが率直な評価です。
まとめ
- 欠けていた3つの章をAIサブエージェントに同時並行で執筆させ、速度と文体の均質性を検証した。
- トーン見本となる章を1つ指定するだけで、担当が分かれていても文体が揃いやすくなった。
- 統合時には、章間参照のズレ・説明の重複・用語の表記ゆれを手作業で修正する工程が必要だった。
- 並列執筆は時短そのものというより、執筆時間を統合・レビュー時間に付け替える性質のものと捉えている。
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