
KDPセレクトとKindle Unlimited — ニッチ専門書こそ読み放題が効く(連載⑬)
連載第13回です。前回は発売後の価格を3段階で動かす設計について書きました。今回は、その先にある選択肢——KDPセレクトへの登録とKindle Unlimited(KU)が、「日本の測地系がわかる本」のようなニッチな専門書とどう相性が良いのかという話です。
KDPセレクトとKindle Unlimitedの関係
KDPセレクトは、Amazonが提供する登録制度で、登録した本はAmazon独占での販売が条件になる代わりに、Kindle Unlimited(KU) という読み放題プログラムに本を掲載できるようになります。KUの読者は月額料金を払えば対象の本を読み放題で読むことができ、著者側には「購入されたかどうか」とは別の軸で収益が発生する仕組みが用意されています。
KENP — 「読まれたページ数」で決まる収益
KU経由の収益は、KENP(Kindle Edition Normalized Pages)という単位で管理されます。これはAmazonが本ごとの実際のページ数を、共通の基準に正規化した尺度で、KUユーザーがその本を実際に読んだページ数に応じて収益が積み上がっていく仕組みです。
つまりKUは「無料で置いておくだけ」ではなく、きちんと読まれた分だけ収益になる制度だといえます。表紙だけ見てすぐ離脱されるより、最後まで読み進めてもらえる本ほどKENP収益は伸びやすい、という構造です。
なぜニッチな専門書とKUの相性が良いのか
一般的な議論では、「広く売れる本は通常販売、テーマが狭い本はKUが効きやすい」という目安がよく語られます。理由はいくつか考えられます。
- ニッチな専門書は母数となる潜在読者が少ないため、都度購入のハードルより「読み放題だから試しに開いてみる」導線の方が読者に届きやすい面がある
- 専門的な内容ほど、購入して斜め読みされるより、必要な章をじっくり読む読者が多く、結果としてページ単位のKENP収益につながりやすい
- KUの検索・レコメンドは購入本と別枠で露出することがあり、通常販売だけでは届きにくい読者層に接点を作れる可能性がある
一方で、購入して手元に置きたい・じっくり読みたいという需要が強いテーマでは、通常販売の印税の方が高くなるケースもあるとされています。「読まれやすいテーマならKU、購入が見込める内容なら通常販売」という判断軸を、本の性質ごとに考える必要があります。
測地系というテーマでの判断
「日本の測地系がわかる本」は、実務者が必要な章だけをピンポイントで参照する使い方と、体系的に通読する使い方の両方が想定されるテーマです。前回の記事で書いた価格の3段階戦略(¥680→¥1,650)でレビューを積み上げたあと、KDPセレクトへの登録とKUでの露出を軸足にするかどうかは、実際のレビュー動向・KENPの実績を見ながら判断していく方針にしています。最初からKU一本に絞るのではなく、通常販売での反応を見てから舵を切れるようにしているのがポイントです。
まとめ
- KDPセレクトに登録すると、本はKindle Unlimitedの読み放題対象になり、購入とは別軸の収益機会が生まれる。
- KU経由の収益はKENP(正規化ページ数)に基づき、実際に読まれたページ数に応じて積み上がる。
- ニッチな専門書は「試しに開いてもらいやすい」「必要な章をじっくり読まれやすい」という点でKUと相性が良いとされる一方、購入・所有ニーズが強いテーマでは通常販売が有利な場合もある。
- 「日本の測地系がわかる本」では、価格戦略でレビューを積み上げたあと、実績を見ながらKU移行を判断する方針にしている。
次回は、複数のAIに辛口の編集レビューをさせて改稿するプロセスについて書く予定です。
出典
- Kindle Unlimited | Kindleダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G201537300
- 電子書籍のロイヤリティ | Kindleダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210
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前回(連載⑫・Kindle本の価格を3段階で変える)は同日作成のためリンクは公開後に追加します。
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