
Kindle本の価格を3段階で変える — ¥680→¥1,650→KUの設計理由(連載⑫)
「日本の測地系がわかる本」制作の裏側を綴る連載、第12回です。前回は表紙をGeminiとPythonで作る話でした。今回は少し毛色を変えて、発売後の価格をどう動かしていくかという設計の話です。発売直後・レビュー獲得期・その先という3段階に分けて考えています。
KDPのロイヤリティは「価格帯」で条件が変わる
KDPには大きく2つのロイヤリティプランがあります。
| プラン | 価格帯(税込) | 条件 | 配信コスト |
|---|---|---|---|
| 70% | ¥250〜¥1,650 | KDPセレクトへの登録が必要 | ファイルサイズに応じて発生(1MBあたり¥1) |
| 35% | ¥99〜¥20,000 | KDPセレクト登録は任意(他ストアでも販売可) | 発生しない |
70%ロイヤリティを選ぶ場合、価格は¥250〜¥1,650の範囲に収める必要があり、配信コストが売上から差し引かれます。この価格帯の中でどこに設定するかが、実質的な手取りとレビューの集まりやすさの両方に影響します。
なお、この上限は2026年7月7日に¥1,250から¥1,650へ拡大されたばかりです(Amazon.comでは70%オプションの上限が$9.99→$12.99に引き上げられ、日本を含む他マーケットプレイスでも同等の変更が行われました。下限の¥250と35%オプションの価格帯には変更ありません)。この本の価格戦略も、この新しい上限を踏まえて設計しています。
第1段階:¥680 — 発売直後は「手に取りやすさ」優先
発売直後の第1段階は、70%帯の下限に近い¥680からスタートする設計にしています。専門性の高いニッチな内容の本ほど、最初の読者に「試しに読んでみよう」と思ってもらえるかどうかがレビュー獲得の分かれ目になります。価格を低めに設定することで、購入のハードルを下げ、最初のレビューが付きやすい状態を作るのが狙いです。
第2段階:¥1,650 — レビューが集まったら70%帯の上限へ
一定数のレビューが集まった段階で、価格を70%帯の上限である¥1,650まで引き上げる設計にしています。同じ70%ロイヤリティのままでも、価格を上げれば1冊あたりの手取りは増えます。レビューという「信頼の裏付け」が付いた後であれば、価格を上げても購入のハードルが急に上がりにくい、という考え方です。
配信コストは1MBあたり一定額が差し引かれる仕組みのため、EPUBのファイルサイズを減らす取り組みは、この価格戦略の手取りにも直結する話です。ファイルサイズと価格設定は、別々の連載回のようでいて、実は同じ収益構造の中でつながっています。
第3段階:KDPセレクト継続 or KUへの本格的な軸足移動
第3段階では、通常販売を続けるか、Kindle Unlimited(KU)での読み放題収益を軸足にするかを検討します。KUはKDPセレクトに登録した本がKUユーザーに読み放題で提供される仕組みで、購入されなくても「読まれたページ数(KENP)」に応じた収益が発生します。ニッチな専門書は、次回の連載で扱うとおり、KUとの相性が良いケースがあるため、レビューが十分に集まった段階でKUでの露出を重視する戦略に切り替えることを想定しています。
まとめ
- KDPの70%ロイヤリティは¥250〜¥1,650の価格帯(2026年7月7日に上限が¥1,250から拡大)かつKDPセレクト登録が条件で、配信コストが差し引かれる。35%は¥99〜¥20,000で登録は任意、配信コストもかからない。
- 発売直後は¥680からスタートし、購入のハードルを下げてレビューを集めることを優先する。
- レビューが一定数付いた段階で、同じ70%ロイヤリティのまま新しい上限の¥1,650へ引き上げ、手取りを増やす。
- その先は、KDPセレクト継続かKU(読み放題)への軸足移動かを、本の性質に応じて判断する。
次回は、KDPセレクトとKindle Unlimitedがニッチな専門書とどう相性が良いのかを掘り下げます。
出典
- 電子書籍のロイヤリティ | Kindleダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200644210
- 電子書籍の価格設定ページ | Kindleダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200634500
- 電子書籍の希望小売価格の要件(2026年7月7日付・70%オプション価格帯変更) | Kindleダイレクト・パブリッシング https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200634560
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前回(連載⑪・Kindle表紙をGeminiで作る)はまだ公開準備中のため、公開後にリンクを追加します。
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