ITRF2014からITRF2020へ — 電子基準点F5.1解と座標変換の「元期」を整理する

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ITRF2014からITRF2020へ — 電子基準点F5.1解と座標変換の「元期」を整理する

ITRF2020への移行と座標変換の元期

2026年4月1日、国土地理院は電子基準点の「日々の座標値」を新解析の F5.1解 として公開し、その基準座標系を ITRF2014 から ITRF2020 へ更新しました。座標変換を扱う GeoConverterPro(GCVP)の視点では、「ITRF って何が違うのか」「元期と今期の話とどう関わるのか」が気になるところです。普段の変換でいきなり数値が変わるわけではありませんが、座標の足元にある国際基準が更新されたという話なので、整理しておきます。


ITRFとは — 世界共通の座標のものさし

ITRF(国際地球基準座標系)は、世界中の観測局のデータから作られる、地球規模の座標の基準です。数年ごとに最新版が定義され、これまで ITRF2014 が広く使われてきましたが、最新版が ITRF2020 です。日本の測地系 JGD2024 も、こうした国際基準と整合するように構築されています。

位置づけ
ITRF2014 従来の電子基準点解析(F5解)が基準としていた版
ITRF2020 最新版。F5.1解が基準とする版

「元期」と「今期」— なぜ座標に時刻がつくのか

高精度な座標変換でつまずきやすいのが、座標に「時点」の概念がつくことです。

  • 今期(観測した時点の座標):実際に GNSS で観測した、その時点での位置。プレート運動で毎年わずかに動いています。
  • 元期(基準となる時点の座標):国家座標 JGD2024 が定める基準時点に揃えた位置。地図や成果はこちらで管理されます。

この「今期 → 元期」の橋渡しをするのが、セミダイナミック補正や定常時地殻変動補正(pos2jgd)です。F5.1解で基準が ITRF2020 に更新されたことは、この一連の前提が新しい国際基準に乗ったことを意味します。

WGS84とJGD2024と国際座標系の関係


補正パラメータとの関係

地殻変動補正パラメータは電子基準点の座標から作られるため、F5.1解への移行は補正パラメータの作成側にも関わります。実際、2026年度版の地殻変動補正パラメータ(セミダイナミック補正用)からは、作成にあたって F5.1解が使われています。ただし、測量作業での使い方そのものは変わらないとされています。GCVP で扱う主な前提を、更新サイクルとあわせて整理すると次の通りです。

前提 更新サイクル F5.1解との関係
セミダイナミック補正(semidyna) 毎年4月(年度単位) 2026年度版作成に F5.1解を使用
定常時地殻変動補正(pos2jgd) 2か月ごと 電子基準点座標が土台
JGD2024 の国家座標 改定時 ITRF2020 と整合

2026年度版 地殻変動補正パラメータ


実務でどう受け止めるか

GeoConverterPro で日々行う変換(例:JGD2024B → 平面直角座標)の手順や結果が、F5.1解の公開で即座に変わるわけではありません。大切なのは次の点です。

  • 高精度を求める場面では、扱う座標が「どの座標系・どの時点(元期/今期)」のものかを取り違えないこと。
  • 補正パラメータは年度や時期で更新されるので、最新版を使うこと。
  • 国際基準(ITRF)の更新は、国家座標や補正の足元を新しく揃える動きとして理解しておくこと。

まとめ

ITRF2014 から ITRF2020 への移行は、電子基準点 F5.1解という形で測位・座標の基盤に反映されました。座標変換の現場では、普段の変換操作が直ちに変わるわけではないものの、「元期と今期」「補正パラメータの土台」という前提が新しい国際基準に乗ったことを押さえておくと、高精度変換での取り違えを防げます。


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出典

  • 国土地理院「新しい『電子基準点日々の座標値(F5.1解)』を公開します」 https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi65021.html
  • 国土地理院「プレート運動による地殻変動の補正(定常)」 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/semidyna.html
  • 国土地理院「公共測量における『地殻変動補正パラメータ』について」 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/semidyna-seika.html

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