
全テストポイントを国土地理院の変換サイトと比較する — 精度の証明と検証の大変さ
「テストポイント設計を解説する」という記事で、GeoCoreJPの検証に使う73点の設計意図を紹介しました。今回はその73点を実際に国土地理院の公式変換サイトと突き合わせた経緯を、結果の要点と、検証作業そのものの大変さの両面からまとめます。
1. 検証の目的 — GeoCoreJPの精度を国土地理院公式ツールで証明する
詳しい結果はGeoConverterPro の座標変換を国土地理院の公式ツールで全数検証するにまとめてありますが、要点だけ振り返ります。
| 変換 | 照合ツール | 対象点 | 最大残差 |
|---|---|---|---|
| 東京測地系 → JGD2000 | TKY2JGD | 47 | 0.21 mm |
| JGD2000 → JGD2024(基準) | PatchJGD | 21県+16点 | 0.28 mm |
| JGD2024 → jgd2024b | PatchJGD | 6 | 0.40 mm |
| JGD2024 → jgd2024c | SemiDynaEXE | 64 | 0.37 mm |
| JGD2024 → jgd2024d | POS2JGD | 64 | 1.68 mm |
いずれも残差はミリ単位(多くは1mm未満)で、GeoCoreJPの変換アルゴリズムとパラメータが国土地理院の公式ツールと整合していることを確認できています。POS2JGDだけやや残差が大きいのは、POS2JGDの出力が小数8桁(他は9桁)で、桁の丸めが主因です。
2. 4隅が揃わない点は国土地理院と扱いが違う — CCQの必要性
73点のうち9点(1〜3隅予測点)は、この残差比較の対象から外しています。理由は、国土地理院の地震時補正では、こうした境界メッシュを「対象地域外」として補正なしにするのに対し、GeoCoreJPは連続性を保つために0埋めで補正を続行するという仕様上の違いがあるためです。
どちらが正しい・間違っているという話ではなく、「そこは国土地理院とGeoCoreJPで扱いが異なる」という事実を利用者に伝える必要があります。それを担っているのがCCQ(座標変換クオリティー)機能です。全数検証の前提として、この9点をあらかじめ切り分けておいたことで、残る64点の残差比較がノイズなく行えました。
3. 検証作業そのものの大変さ
ここからが今回、正直に書きたかった話です。結果だけを見ると「73点を検証しました」の一言で終わりますが、実際の作業はかなり地道でした。
ツールによって手間が全く違う
国土地理院の公式ツールは、今回使った5つで手間の質が大きく異なりました。
- POS2JGD(定常時地殻変動補正)・TKY2JGD・SemiDynaEXEは、いずれもファイルの一括アップロードに対応しており、対象点をまとめて1回の処理で変換できました。ここは想像より楽でした。
- 一方、PatchJGD(地震時補正)だけは1点ずつ入力する簡易フォームが基本で、一括処理の手段がありません。GCVP側はCSVで73点を一括変換できるのに対し、PatchJGDとの照合だけは1点ずつの手作業になります。
重複地震の点は「2周」する必要がある
特に手間がかかったのが、検証レポート(b)でも触れた重複地震テスト用の3点(柏崎市・栗原市・奥州市)です。GeoCoreJPはこれらの地点で複数の地震補正を発生順に逐次適用するため、PatchJGD側でも同じ順序をなぞって次の手順を2回繰り返す必要がありました。
- PatchJGDで先に発生した地震(例:中越沖2007)を選ぶ
- 元の座標を入力して変換する
- 変換結果(1つ目の地震適用後の座標)を控えておく
- 次に発生した地震(例:東北沖2011)を選び直す
- 手順3で控えた座標を入力し、続けて変換する
- 最終結果をGeoCoreJPの出力と突き合わせる
同じ座標を2回別々に変換して後から合算するのではなく、1回目の変換結果を2回目の入力に使う逐次処理である点が、手作業でも間違えやすいポイントでした。1点あたり2セットの入力・変換・記録が必要になるため、単純な地点の2倍以上の手間がかかった実感です。PatchJGDで確認する地震補正の対象点だけで十数点、それに重複地震3点の「2周分」が加わり、一括処理の効かないPatchJGDでこれを1点ずつ繰り返すと、手作業でのフォーム入力・結果の書き写しは相応の回数になりました。
検証の大変さが教えてくれること
この手間を経験してあらためて感じたのは、GCVPのCSV一括変換機能そのものが持つ価値です。73点を7つの座標系に一括変換し、往復誤差まで一度に確認できる仕組みは、今回のような手作業の検証を何度もやらずに済ませるためにこそ作った機能でもあります。「検証する側」の大変さを体験すると、「変換する側」の機能のありがたみがよく分かる、という話でした。
まとめ
- 5つの国土地理院公式ツールとの照合で、GeoCoreJPの変換精度はミリ単位(多くは1mm未満)で一致することを確認した。
- 4隅が揃わない9点は国土地理院とGeoCoreJPで扱いが異なるため比較対象から外し、その違いはCCQ機能で利用者に伝えている。
- POS2JGD・TKY2JGD・SemiDynaEXEは一括アップロードに対応していたが、PatchJGDのWeb版だけは1点ずつの入力が基本で、特に重複地震テスト用の3点は2つの地震を2周する必要があり、手間がかかった。
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