テストポイント設計を解説する — 地震補正・重複地震・境界域・47都道府県庁

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テストポイント設計を解説する — 地震補正・重複地震・境界域・47都道府県庁

テストポイント設計を解説する — 地震補正・重複地震・境界域・47都道府県庁

以前、GeoConverterPro の座標変換を国土地理院の公式ツールで全数検証するという記事で、73点のテストポイントを使った検証結果を紹介しました。今回はその検証結果ではなく、「なぜこの73点を選んだのか」という設計の話です。GeoCoreJPのテストポイントは、思いつきで並べたものではなく、4つの観点を意識して組んでいます。


テストポイントを分類する4つの観点

GeoCoreJPの座標変換テストは、47都道府県庁所在地に26点の特別地点を加えた合計73点を、TOKYO・JGD2000・JGD2011・JGD2024・jgd2024b・jgd2024c・jgd2024dの7つの座標系すべてに変換し、往復変換誤差(mm単位)まで確認する構成になっています。

観点 点数 狙い
① 47都道府県庁所在地 47点 全国にまんべんなく分布する基本セット
② 地震補正テスト用の特別な位置 26点 各地震パラメータが実際に効く地点を個別に確認
③ 重複地震テスト用 (②に含む3点) 複数の地震補正が重なる地点の逐次適用処理を確認
④ 補正エリア境界(4隅揃わない)テスト用 9点 補正データが不完全な境界メッシュでの挙動を確認

① 47都道府県庁所在地 — 全国網羅の基本セット

北海道(札幌市)から沖縄県(那覇市)まで、47都道府県庁所在地の緯度経度を正標高100mでテストします。特定の地域に偏らず、全国どこでも変換が破綻しないことを確認するための土台です。この47点はどの地震補正の影響も受けない(または軽微な)地点が多いため、変換アルゴリズムそのものの基礎的な正しさを見るのに向いています。

② 地震補正テスト用の特別な位置 — 26点

47都道府県庁だけでは、地震時地殻変動補正(PatchJGD相当)が実際にどれだけ効くかが分かりません。そこで、震源に近く補正量が大きく出る地点を、地震ごとに個別に選んでいます。

地震 代表地点
十勝沖地震(2003) 帯広市(GCVP基準点)・釧路市・浦幌町
福岡県西方沖地震(2005) 福岡市西区玄界島
能登半島地震(2007) 輪島市・七尾市
中越沖地震(2007) 柏崎市
岩手・宮城内陸地震(2008) 栗原市・奥州市
宮古島近海地震(2008) 宮古島市
東北地方太平洋沖地震(2011) 石巻市鮎川・気仙沼市・大船渡市・釜石市・いわき市・相馬市 ほか
熊本地震(2016) 宇土市(GCVP基準点)

帯広市と宇土市には「GCVP基準点」という役割も持たせています。過去の検証記事(検証レポート(a)など)で繰り返し登場する、GeoCoreJPの精度確認における定番の地点です。

③ 重複地震テスト用 — 柏崎市・栗原市・奥州市

地震補正で厄介なのは、1つのメッシュ地点に複数の地震の補正が重なるケースです。②の一覧の中でも、柏崎市(中越沖2007+東北沖2011)、栗原市(岩手・宮城内陸2008+東北沖2011)、奥州市(岩手・宮城内陸2008+東北沖2011)の3点は、2つの地震の補正パラメータが両方とも該当する地点として意図的に選んでいます。

GeoCoreJPは、こうした地点では該当する複数の地震の補正を発生順に繰り返し適用して座標を確定します(year_noで年次順を管理し、1つ目の地震の補正結果に対して2つ目の地震の補正をかける、という逐次処理です)。実際、社内の重複メッシュ分析でも、jgdMerge2011.db(東北地方太平洋沖地震の前後を含むデータベース)の宮城県仙台市周辺のメッシュで、震災前後(year_no=5→7)の補正差が最大約5.4mに達するケースが確認されており、複数年次のデータが同一メッシュに同居する設計になっていることが分かります。1地点1地震という単純なケースだけでなく、こうした重なりのある地点をテストに含めることで、この逐次適用処理の正しさを別途確認しています。

④ 補正エリア境界(4隅揃わない)テスト用 — 9点

補正パラメータはメッシュの4隅の値から内挿して求めますが、震源域のふちに近い地点では、4隅のうち1〜3隅しか補正データが存在しないことがあります。GeoCoreJPのテストには、こうした「1隅予測」「2隅予測」「3隅予測」とラベル付けされた9点が含まれています。

  • 牡鹿半島東方沖A・B(東北沖2011)
  • 宮古島東岸・東端沖(宮古島近海2008)
  • 十勝海岸沖(十勝沖2003)
  • 玄界灘(福岡県西方沖2005)
  • 益城東方(熊本2016)
  • 富山湾沖(能登半島2024)
  • 日向灘沿岸(日向灘2024)

国土地理院の公式ツールでは、こうした「対象地域外」の地点は補正なしとして扱われますが、GeoCoreJPは連続性を保つため0埋めで補正を続行します。この違いをアプリの利用者にきちんと伝えるための仕組みがCCQ(座標変換クオリティー)です。この9点は、CCQが正しく「4隅がそろっているか」を判定できているかを確認するために欠かせないテストケースになっています。


まとめ

  • GeoCoreJPのテストポイントは、47都道府県庁(基本セット)+26の地震補正地点+その中の重複地震3点+補正境界9点、という設計意図を持った合計73点。
  • 単に地点数を増やすのではなく、「地震補正が効く地点」「複数の地震補正が重なる地点」「補正データが4隅揃わない境界地点」をそれぞれ意図的に選んでいる。
  • この設計があるからこそ、国土地理院との全数検証で「どのケースが確認できていて、どのケースが対象外か」を明確に線引きできている。

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