公図と現況のずれは何メートル? — 「ずれまっぷ」をAFT_GOSAで再現する5段階のしきい値

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公図と現況のずれは何メートル? — 「ずれまっぷ」をAFT_GOSAで再現する5段階のしきい値

公図と現況のずれは何メートル? — 「ずれまっぷ」をAFT_GOSAで再現する5段階のしきい値

街区によって0.1m未満から10m以上まで、まったく違います。 そしてその値は、感覚や伝聞ではなく公開データの数値として存在します。国土交通省が提供する都市再生街区基本調査の成果に AFT_GOSA というフィールドがあり、街区単位のずれ量がメートルで入っています。かつて「ずれまっぷ」として公開されていた色分けは、このフィールドを5段階でしきい分けたものでした。同じ表示は、手元のQGISで再現できます。


そもそも何と何の「ずれ」なのか

登記所に備え付けられている公図は、土地のおおまかな位置や形状を知るための参考資料です。データ提供元も明記しているとおり、公図には明治時代の地租改正に伴って作成されたものなどが含まれており、現況と一致しないことは珍しくありません。

そこで都市再生街区基本調査では、街区単位で現況を把握し、公図を重ね合わせることによってずれの状況を把握しました。AFT_GOSA はその結果です。つまりこの数値は、

  • 個々の土地の筆界がどこにあるかを示したものではない
  • 「この街区で公図を現況に重ねると、だいたいこのくらい動く」という街区単位の目安

という性格のものです。ここを取り違えると、数値の読み方を丸ごと間違えます。


どこで手に入るか

G空間情報センターの、国土交通省 地籍整備室によるデータセット「節点・補助基準点及び平成16年度〜18年度に実施した都市再生街区基本調査の成果、平成22年度より実施している都市部官民境界基本調査の成果提供」に入っています。ライセンスは CC BY 4.0、2026年10月1日時点で価格情報は「無償」と記載されています。

このデータセットには2系統のファイルが同居しています。

ファイル 中身
街区基準点等データ.zip / 土地活用推進調査.zip / 都市部官民基準点等データ.zip 基準点のCSV(三角点・多角点・節点・補助点)
平面直角座標_NN系.zip 公図と現況のずれ情報(街区のポリゴン。AFT_GOSA を含む)

前者のCSVについては 街区基準点の座標値はどこで手に入る? で扱いました。本記事は後者、平面直角座標_NN系.zip のほうです。

系ごとに分かれて配布されている点に注意してください。2026年10月1日時点でこのデータセットに並んでいるのは 01系〜13系と15系で、14系・16〜19系のファイルはありません。都市再生街区基本調査が実施された地区のぶんだけが存在する、ということです。自分の対象地の系番号が分からないときは 平面直角座標系19系の区分と原点 で確認できます。

平面直角座標系1〜19系の全国区分図


AFT_GOSA の5段階 — 「ずれまっぷ」の凡例

過去に公開されていた「ずれまっぷ」の色分けは、提供元が示している次の5段階です。QGISの「ルールに基づいた(Rule-based)」シンボロジで、そのまま再現できます。

フィルタ式 凡例ラベル 色
AFT_GOSA >= 0 AND AFT_GOSA < 0.1 精度の高い地域(0.1m未満) 水色
AFT_GOSA >= 0.1 AND AFT_GOSA < 0.3 小さなずれ(0.1〜0.3m未満) 薄緑
AFT_GOSA >= 0.3 AND AFT_GOSA < 1.0 ずれのある地域(0.3〜1.0m未満) 黄色
AFT_GOSA >= 1.0 AND AFT_GOSA < 10.0 大きなずれ(1.0〜10.0m未満) ピンク
AFT_GOSA >= 10.0 きわめて大きなずれ(10.0m以上) グレー

どのルールにも当てはまらないフィーチャ——AFT_GOSA が0未満、またはNULLのもの——は、デフォルトのシンボルを「塗りつぶしなし」にして透明にします。これをやらないと、値を持たない街区まで一律の色で塗られて、「調べた結果ずれが小さい」と「そもそも調べていない」が同じ見た目になってしまいます。ここが再現でいちばん間違えやすい場所です。

手順

  1. 対象地の系番号の 平面直角座標_NN系.zip をダウンロードして解凍する
  2. QGISへドラッグ&ドロップで読み込む
  3. レイヤのプロパティ →「シンボロジ」→ 一番上のドロップダウンで「ルールに基づいた」を選ぶ
  4. 上表の5行をルールとして追加し、フィルタ式と色を設定する
  5. 既定ルール(else)を「塗りつぶしなし」にする

しきい値が0.1/0.3/1.0/10.0と桁で刻まれているのは、地図上で「だいたい何センチの世界か/何メートルの世界か」を一目で分けるためです。0.3mと1.0mのあいだに線が引かれているのは、この帯から先は現地で人が気づくずれになる、というおおよその境目だと読めます。


読むときの注意 — 4つ

① 調査していない地区には情報が無い。 このずれ情報は都市再生街区基本調査の成果なので、同調査を行っていない地区のデータは存在しません。地図に色が付かない=ずれが小さい、ではありません。

② 筆界を決めるデータではない。 公図そのものが「土地のおおまかな位置や形状を知るための参考資料」です。境界確定の根拠にはなりません。

③ 地震の影響が乗っている可能性がある。 提供元は、平成28年(2016年)熊本地震・令和6年(2024年)能登半島地震・令和6年8月8日の日向灘の地震について、地殻変動が大きかった地域の測量成果には異常がある可能性があると明記しています。地殻変動で座標が動く仕組みそのものは セミダイナミック補正とは何をしているのか にまとめてあります。

④ 測量法42条の閲覧ではない。 このデータの提供は、測量法第42条に基づく測量成果等の閲覧を行っているものではない、と明記されています。最新値は所在の市町村に確認してください。


座標系まわりでつまずいたら

平面直角座標_NN系.zip はシェープファイルなので、座標系の情報は .prj に入っています。QGISが系番号を正しく読めていないときの見分け方は Shapefileの.prjファイルとは、プロジェクト側のCRSと食い違っているときの症状は QGISで日本の座標系はどれを選ぶ? で扱っています。

なお、同じデータセットに入っている基準点CSVのほうは測量座標系で提供されており、GISへ入れるときにX・Yの入れ替えが要る場合があります。ポリゴン側(.shp)はそのまま読めますが、CSV側と混ぜて作業するときは軸の向きに注意してください。詳しくは 平面直角座標のXとYはどっちが北? に書きました。


まとめ

  • 公図と現況のずれ量は、AFT_GOSA フィールドにメートル単位の実数として入っている
  • 「ずれまっぷ」の色分けは 0.1/0.3/1.0/10.0m の5段階。QGISの「ルールに基づいた」シンボロジで再現できる
  • どのルールにも当てはまらないフィーチャは透明にする。塗ってしまうと「未調査」と「ずれが小さい」が区別できなくなる
  • 街区単位の目安であり、筆界を示すものではない。未調査地区には値そのものが無い

公図が現況とずれていることは、実務では前から知られていました。それが街区ごとの数値として配られていることのほうが、たぶん知られていません。

出典

  • G空間情報センター「節点・補助基準点及び平成16年度〜18年度に実施した都市再生街区基本調査の成果、平成22年度より実施している都市部官民境界基本調査の成果提供」(AFT_GOSA のしきい値・凡例・注意事項・配布ファイル一覧) https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/toshisaisei-toshibukanmin
  • 国土交通省「都市再生街区基本調査及び都市部官民境界基本調査の成果の情報提供」(よくある質問Q&A) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/chirikukannjoho/gaikuchousa_index.html

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開発者より: アプリ・Kindle本・公開プロジェクトの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。


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