
旧図の「1間」は何メートル? — 1間=20/11mの由来と、坪を3.3㎡で丸めると地積が何㎡ずれるか
1間は 20/11 m = 1.818181…m、1尺は 10/33 m = 0.303030…m です。これは「だいたい1.8m」という近似ではなく、分数で決められた厳密な値です。ここを1.8mで計算すると、500間で9mずれます。旧図の寸法をメートルと座標に直すときに効く数字をまとめます。
換算値は分数で覚える
尺は明治期に1m = 33/10 尺と定められました。逆数をとると 1尺 = 10/33 m で、以降の単位はすべてこの分数から導かれます。
| 単位 | 定義 | 分数 | 小数 |
|---|---|---|---|
| 1尺 | 1m の 10/33 | 10/33 m | 0.3030303… m |
| 1寸 | 1尺の 1/10 | 1/33 m | 0.0303030… m |
| 1間 | 6尺 | 20/11 m | 1.8181818… m |
| 1町(長さ) | 60間 | 1200/11 m | 109.090909… m |
| 1里 | 36町 | 43200/11 m | 3927.2727… m |
| 1坪(=1歩) | 1間 × 1間 | 400/121 m² | 3.3057851… m² |
| 1畝 | 30坪 | 12000/121 m² | 99.173553… m² |
| 1反 | 300坪 | 120000/121 m² | 991.73553… m² |
| 1町(面積) | 10反=3000坪 | 1200000/121 m² | 9917.3554… m² |
逆向きは 1m = 0.55間、1m² = 0.3025坪。0.55 と 0.3025(=0.55²)はどちらも有限小数なので、メートルから間・坪へ直す側は丸め誤差が出ません。誤差が出るのは、間・坪からメートルへ直す側です。
現在の計量法では、尺貫法の単位を取引・証明に使うことはできません。ここでの換算は、過去の図面に書かれた数値を読むためのものです。成果として出す寸法・地積はメートル法で書きます。
丸めると何メートル・何㎡ずれるか
長さは素直に効きますが、面積は長さの2乗なので誤差が約2倍で効きます。
長さ(1間を何mとみるか)
| 使った値 | 100間 | 500間 | 正しい値との差(500間) |
|---|---|---|---|
| 1.8 m | 180.000 m | 900.000 m | −9.091 m |
| 1.82 m | 182.000 m | 910.000 m | +0.909 m |
| 1.8182 m | 181.820 m | 909.100 m | +0.009 m |
| 20/11 m(正) | 181.818 m | 909.091 m | — |
面積(1坪を何㎡とみるか)
| 面積 | 400/121 ㎡(正) | 3.3 ㎡で丸め | 差 |
|---|---|---|---|
| 60坪 | 198.35 ㎡ | 198.00 ㎡ | −0.35 ㎡ |
| 100坪 | 330.58 ㎡ | 330.00 ㎡ | −0.58 ㎡ |
| 300坪(1反) | 991.74 ㎡ | 990.00 ㎡ | −1.74 ㎡ |
| 1,000坪 | 3305.79 ㎡ | 3300.00 ㎡ | −5.79 ㎡ |
- 3.3 ㎡で丸めると 1坪あたり −0.005785 ㎡(−0.175%)。1反で1.7㎡、1000坪で5.8㎡に育ちます
- 逆に 1間=1.82 m を使って面積を組むと 1坪 3.3124 ㎡ で +0.2%。1000坪で +6.6㎡ 過大になります
- 長さを0.1%間違えると、面積は約0.2%間違える。これが「面積は2乗で効く」の実体です
旧図の寸法を扱うときの落とし穴
| # | 落とし穴 | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1間=1.8mで計算 | 距離が1.0%短くなる。500間で9m | 分数(20/11)で計算し、丸めは最後の表示だけにする |
| 2 | 1坪=3.3㎡で丸め | 地積が0.175%小さくなる | 400/121 で計算する |
| 3 | 鯨尺との混同 | 1尺が 25/66 m = 0.3788m。25%も違う | 土地・建物は曲尺。鯨尺は布の単位で、図面には出てこない |
| 4 | 建築の「間」と混同 | 京間・田舎間などは畳割りの寸法で、地方や流儀で違う | 土地の1間は6尺(20/11 m)。建築の間取り寸法とは別物として扱う |
| 5 | 換算値で登記の地積を上書き | 登記簿の地積は法的な値。換算値と一致しない | 換算値は参考として別列に持ち、登記の値は書き換えない |
| 6 | 寸法から座標を「復元」したつもりになる | 旧図の寸法自体に図面の精度・境界の変遷が乗っている | 復元ではなく推定として扱い、既知点との残差を必ず記録する |
| 7 | 単位だけ直して座標系を決めていない | メートルに直しても、どの座標系の値かが未定のまま | 任意座標として組み、既知点で公共座標へ載せる(下記) |
メートルに直したあと、座標に載せるまで
寸法をメートルに直すのは準備で、それだけでは座標になりません。手順は次の4段です。
- 寸法をメートルに直す(間・尺 → m。分数で計算)
- 任意座標を組む(図面の基準線をX軸などに置いて、辺長と角度から点を並べる)
- 既知点で公共座標へ載せる(2点以上の既知点で回転・平行移動・縮尺を合わせる=2次元ヘルマート変換)
- どの系か書く(平面直角座標系は全国19系。系を書いていない座標値は、あとから検算できません)

検算はかんたんです。メートルに直した値を、もう一度 0.55 倍して間に戻すと、元の寸法にmmまで戻ります。戻らなければ途中で丸めています。
まとめ
- 1尺 = 10/33 m、1間 = 20/11 m = 1.818181…m、1坪 = 400/121 m² = 3.3057851…m²。分数が定義
- 1間=1.8mで計算すると 500間で9.1m、1坪=3.3㎡で丸めると 1000坪で5.8㎡ずれる
- 面積は長さの2乗なので、誤差が約2倍で効く
- 鯨尺(25/66 m)や建築の「間」と混ぜない。土地の1間は6尺
- 登記簿の地積は換算値で上書きしない。換算は参考列に持つ
- 寸法→メートル→任意座標→既知点で公共座標。系を書いていない座標は検算できない
- 逆換算(×0.55)で元の寸法に戻るかを確かめれば、丸めの入り込みはその場で分かる
出典
- e-Gov法令検索「計量法」(平成四年法律第五十一号) https://laws.e-gov.go.jp/law/404AC0000000051
- 一般社団法人東京都測量設計業協会「尺貫法」(1尺=100cm×10/33、1m=0.5500間、1m²=0.3025坪、1反=300坪) https://www.sokuryo.or.jp/db/shakkanhou
- 国土地理院「作業規程の準則について」 https://www.gsi.go.jp/gijyutukanri/gijyutukanri41018.html
次に確認する
- 現場の任意座標を公共座標に直すには? — 旧図の寸法から組んだ任意座標を、既知点で公共座標へ載せる手順と残差の見方です
- 登記所備付地図データの座標系はどれ? — 同じ土地の図面でも、公共座標か任意座標かで扱いが変わる見分け方です
- 面積を緯度経度のまま計算してはいけない — 坪を㎡に直したあと、その面積をどの座標系で計算すべきかが分かります
- 地球一周は何キロ?(GeoPrism JP) — 尺が結び付けられた「メートル」そのものが、どうやって決まった長さなのかを図で確かめられます
- 書籍でまとめて学ぶ: 『日本の測地系Q&A』第13章「座標データの落とし穴」(Kindle Unlimited対応)
開発者より: アプリ・Kindle本・公開プロジェクトの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。
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