JGD2024B↔TOKYO_19の往復変換誤差

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JGD2024Bと東京測地系19系を往復変換すると元に戻るかをログで確かめる

変換順逆ログ

GeoConverterPro のログは、片道の変換結果だけでなく、往復したときにどこまで元の座標へ戻るかも確認できます。

同じ3地点について次の流れをそのまま追います。

A1 = JGD2024B の元座標
  ↓ 順変換
B  = TOKYO 平面直角座標系
  ↓ 逆変換
A2 = JGD2024B に戻した座標

見るべきポイントは単純です。A1 と A2 がどこまで一致するか、そして順変換の各ステージが逆変換でどう対応して戻されるかです。

対象は次の3地点です。

  • 熊本県(宇土市付近)(第2系)
  • 石川県(穴水町付近)(第7系)
  • 新潟県(柏崎市付近)(第8系)

まず結論

今回の3組では、熊本県(宇土市付近)と石川県(穴水町付近)は表示桁の範囲で A1 と A2 が一致しました。新潟県(柏崎市付近)だけは、往復後の経度にごく小さな差が残っていますが、これは 約 1.8 mm 相当 の差で、平面座標側でも Y が 1 mm ずれる程度です。

地点 A1: JGD2024B B: TOKYO 平面直角座標系 A2: JGD2024B A1 と A2 の差
熊本県(宇土市付近) 緯度 32.65415900°, 経度 130.68023700° X -38677.261m, Y -29775.377m 緯度 32.65415900°, 経度 130.68023700° 表示桁では一致
石川県(穴水町付近) 緯度 37.21500000°, 経度 136.90700000° X 134501.241m, Y -22776.342m 緯度 37.21500000°, 経度 136.90700000° 表示桁では一致
新潟県(柏崎市付近) 緯度 37.37000000°, 経度 138.55600000° X 151667.162m, Y 5240.385m 緯度 37.37000000°, 経度 138.55599998° 経度差 約 1.8 mm、B 側 Y 差 1 mm

つまり、GeoConverterPro の往復変換は、実用上は元の座標へ戻っていると見てよい精度です。数ミリの差が見えるケースもありますが、それは座標系変換としては十分に小さい範囲です。


順変換と逆変換はどう対応しているか

ログを左右に並べる前に、まず全体の対応関係を整理すると次のようになります。

順変換 逆変換 意味
JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正 JGD2011(WGS84)->JGD2024B 補正 2024年以降の補正を外すか、戻すか
JGD2011→JGD2000 補正 JGD2000→JGD2011(WGS84) 補正 2011年以前の補正を逆向きにたどるか、順向きに戻すか
JGD2000→Tokyo 補正 Tokyo→JGD2000 補正 TKY2JGD を逆に使うか、順に使うか
TOKYO平面直角座標変換 東京測地系 平面直角→地理座標変換 ガウス・クリューゲル投影と逆投影

順変換では上から下へ進み、逆変換ではちょうど逆順で戻ってきます。ここが往復ログの読みどころです。


熊本県(宇土市付近)の往復ログ

熊本県(宇土市付近) 順変換ログ:

熊本県(宇土市付近) 逆変換ログ:

熊本県(宇土市付近)は、往復の対応が最も分かりやすい組です。順変換では 2016年熊本地震の補正を外して Tokyo へ進み、逆変換では同じ補正を最後に戻して JGD2024B へ帰っています。

解説
最初の A1 と最後の A2 は表示桁で一致しており、往復しても元の JGD2024B 座標へ戻っています。
2016年熊本地震の補正は、順変換で外し、逆変換で同じ量を戻していて、符号がきれいに反転しています。
JGD2011→JGD2000 は補正エリア外のため、往復とも素通りです。
TKY2JGD と第2系の投影・逆投影も左右で対応していて、往復変換の基本形が最も見やすく出ています。

順変換 A1→B 逆変換 B→A2
A1
入力(JGD2024B)
緯度: 32.65415900°
経度: 130.68023700°
A2
変換後(JGD2024B)
緯度: 32.65415900°
経度: 130.68023700°
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正】
2016年 熊本地震(逆算)
Δ緯度: -0.0019"
Δ経度: -0.0137"
【JGD2011(WGS84)->JGD2024B 補正】
2016年 熊本地震
Δ緯度: +0.0019"
Δ経度: +0.0137"
【JGD2011→JGD2000 補正】
JGD2011(逆算)
補正エリア外
【JGD2000→JGD2011(WGS84) 補正】
JGD2011(順算)
補正エリア外
【JGD2000→Tokyo 補正】
TKY2JGD 逆補正
Δ緯度: -12.1858"
Δ経度: +8.3870"
【Tokyo→JGD2000 補正】
TKY2JGD 順補正
Δ緯度: +12.1858"
Δ経度: -8.3870"
【TOKYO平面直角座標変換(第2系)】
出力 X: -38677.261m
出力 Y: -29775.377m
【東京測地系 平面直角→地理座標変換(第2系)】
入力 X: -38677.261m
入力 Y: -29775.377m

熊本県(宇土市付近)は、A1→B→A2 の往復が表示桁では完全に閉じている例です。往復変換の基本形を確認するには最も見やすいケースです。


石川県(穴水町付近)の往復ログ

石川県(穴水町付近) 順変換ログ:

石川県(穴水町付近) 逆変換ログ:

石川県(穴水町付近)は、往復の途中で 2024年能登半島地震、2007年能登半島地震、2011年東北地方太平洋沖地震の3つが並ぶので、順変換と逆変換が本当に逆順になっていることを確認しやすい例です。

解説
A1 と A2 はこの地点でも表示桁で一致しており、複数の地震補正を通っても往復後に元へ戻っています。
2024年能登半島地震の補正は、順変換で外し、逆変換で最後に戻しています。
JGD2011→JGD2000 区間では、順変換が 2011年→2007年 の順、逆変換が 2007年→2011年 の順になっていて、処理順が完全に反転しています。
第7系の平面直角座標は、順変換と逆変換の接続点としてきれいに対応しています。

順変換 A1→B 逆変換 B→A2
A1
入力(JGD2024B)
緯度: 37.21500000°
経度: 136.90700000°
A2
変換後(JGD2024B)
緯度: 37.21500000°
経度: 136.90700000°
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正】
2024年能登半島地震(逆算)
Δ緯度: -0.0068"
Δ経度: +0.0338"
【JGD2011(WGS84)->JGD2024B 補正】
2024年能登半島地震
Δ緯度: +0.0068"
Δ経度: -0.0338"
【JGD2011→JGD2000 補正】
2011年 東北地方太平洋沖地震(逆算)
2007年 能登半島地震(逆算)
【JGD2000→JGD2011(WGS84) 補正】
2007年 能登半島地震(順算)
2011年 東北地方太平洋沖地震(順算)
【JGD2000→Tokyo 補正】
TKY2JGD 逆補正
Δ緯度: -10.7257"
Δ経度: +10.8384"
【Tokyo→JGD2000 補正】
TKY2JGD 順補正
Δ緯度: +10.7257"
Δ経度: -10.8384"
【TOKYO平面直角座標変換(第7系)】
出力 X: 134501.241m
出力 Y: -22776.342m
【東京測地系 平面直角→地理座標変換(第7系)】
入力 X: 134501.241m
入力 Y: -22776.342m

石川県(穴水町付近)の往復ログを見ると、GeoConverterPro は単に最終値を合わせているのではなく、途中の地震補正まで含めて可逆な流れを意識して組まれていることが分かります。


新潟県(柏崎市付近)の往復ログ

新潟県(柏崎市付近) 順変換ログ:

新潟県(柏崎市付近) 逆変換ログ:

新潟県(柏崎市付近)は、往復誤差の説明に最も向いています。大筋の流れは他の2地点と同じですが、表示桁で見ると B 側で 1 mm、A 側で約 1.8 mm の差が残っています。

解説
A1 と A2 の間には経度 0.00000002°、約 1.8 mm 相当の差が残っていますが、測地計算としては非常に小さい差です。
2024年能登半島地震の補正は左右で反転しており、主要な変換量そのものは対称です。
JGD2011→JGD2000 区間は、石川県(穴水町付近)と同じく順変換と逆変換でステップ順が反転しています。
B 側では Y に 1 mm、経度に 0.00000001° の差が見えますが、これは逆投影、双線形補間、表示桁での丸めが重なった結果とみてよいレベルです。

順変換 A1→B 逆変換 B→A2
A1
入力(JGD2024B)
緯度: 37.37000000°
経度: 138.55600000°
A2
変換後(JGD2024B)
緯度: 37.37000000°
経度: 138.55599998°
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正】
2024年能登半島地震(逆算)
Δ緯度: -0.0004"
Δ経度: +0.0012"
【JGD2011(WGS84)->JGD2024B 補正】
2024年能登半島地震
Δ緯度: +0.0004"
Δ経度: -0.0012"
【JGD2011→JGD2000 補正】
2011年 東北地方太平洋沖地震(逆算)
2007年 中越沖地震(逆算)
【JGD2000→JGD2011(WGS84) 補正】
2007年 中越沖地震(順算)
2011年 東北地方太平洋沖地震(順算)
B
出力 X: 151667.162m
出力 Y: 5240.385m
経度: 138.55917153°
B
入力 X: 151667.162m
入力 Y: 5240.384m
経度: 138.55917152°
【JGD2000→Tokyo 補正】
TKY2JGD 逆補正
Δ緯度: -10.8481"
Δ経度: +11.4399"
【Tokyo→JGD2000 補正】
TKY2JGD 順補正
Δ緯度: +10.8481"
Δ経度: -11.4399"

新潟県(柏崎市付近)は、往復変換が理論上は対称でも、実装上は数ミリの丸め差が残りうることを確認するための良い例です。


なぜ A1 と A2 に数ミリの差が出るのか

今回のログでは、新潟県(柏崎市付近)でだけ数ミリの差が見えました。これは異常ではなく、次のような要因が重なった結果です。

  1. 平面直角座標の表示が 0.001 m 単位で丸められているため、B の時点で 1 mm 単位の差が見えることがある。
  2. 緯度経度の表示が 0.00000001° 単位なので、実際の内部値が同じでも、表示時に最後の桁が前後することがある。
  3. ガウス・クリューゲル逆投影や双線形補間は浮動小数点計算を含むため、順方向と逆方向で完全な整数的対称にはならない。
  4. 地震補正を複数段通る地点では、小さな丸め差が最終段でわずかに残ることがある。

重要なのは、その差が ミリメートル級に収まっていることです。今回の最大差でも、経度方向で約 1.8 mm、平面座標の Y で 1 mm です。実用上は「計算誤差の範囲」と考えて差し支えありません。ログを見てわかる様に A1→順変換→B→逆変換→A2 の流れで、座標変換は新潟県(柏崎市付近)では合計8回実行しています。これだけ多くの座標変換を繰り返しても数ミリの誤差が時々出るのは計算精度の高さを表していると言えます。


まとめ

JGD2024B と東京測地系19系の往復ログを並べてみると、GeoConverterPro の変換は単に片道の値が出るだけではなく、戻り方向でも対応する処理がきれいに組まれていることが分かります。

  • 熊本県(宇土市付近)と石川県(穴水町付近)では、A1 と A2 は表示桁で一致した
  • 新潟県(柏崎市付近)でも差は約 1.8 mm と 1 mm 程度に収まった
  • 順変換で外した補正は、逆変換で逆順に戻されている
  • 投影と逆投影、TKY2JGD、jgdMerge 系補正がそれぞれ対になっている

つまり、A1→順変換→B→逆変換→A2 の流れを見ると、GeoConverterPro は変換経路そのものを検証可能な形で残していると言えます。最終値だけでなく、どこで何を外し、どこで何を戻したかまで追えるところに、このログの強みがあります。


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