JGD2024B→TOKYO_19の変換ログ解説

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JGD2024Bから東京測地系19系への座標変換をログで読み解く

変換ログ

GeoConverterPro の「座標変換の詳細説明」には、最終的な座標値だけではなく、どの補正がどの順序で適用されたかがそのまま残ります。

3本のログを使って、JGD2024B から東京測地系19系への変換が内部でどう進んでいるかを読み解きます。対象としたのは次の3地点です。

  • 熊本県(宇土市付近)(2016年熊本地震の影響域、第2系)
  • 石川県(穴水町付近)(2024年能登半島地震と2007年能登半島地震の影響域、第7系)
  • 新潟県(柏崎市付近)(2007年中越沖地震の影響域、第8系)

この3地点を並べると、GeoConverterPro が単純に「JGD2024B を東京測地系へ一発変換」しているのではなく、地域ごとに必要な地震補正だけを順番に外し、最後に TKY2JGD と各地点に対応する平面直角系への投影を適用していることがよく分かります。


まず結論

3ログから見えるポイントを先に整理すると、次の表になります。

地点 JGD2024B→JGD2011 で効いた補正 JGD2011→JGD2000 で効いた補正 最後の共通処理
熊本県(宇土市付近) 2016年 熊本地震 なし(補正エリア外) TKY2JGD逆補正 -> 東京測地系 -> 第2系投影
石川県(穴水町付近) 2024年能登半島地震 2007年 能登半島地震、2011年 東北地方太平洋沖地震 TKY2JGD逆補正 -> 東京測地系 -> 第7系投影
新潟県(柏崎市付近) 2024年能登半島地震 2007年 中越沖地震、2011年 東北地方太平洋沖地震 TKY2JGD逆補正 -> 東京測地系 -> 第8系投影

つまり、JGD2024B から東京測地系へ戻す処理は、概念的には次の4段階です。

JGD2024B
  -> JGD2011 (= WGS84)
  -> JGD2000
  -> Tokyo
  -> Tokyo平面直角座標

ただし重要なのは、この中身が地域によって違うことです。熊本県(宇土市付近)では熊本地震だけ、石川県(穴水町付近)では2024年能登と2007年能登半島地震、新潟県(柏崎市付近)では2024年能登の微小な補正に加えて中越沖地震が効きます。


3地点の最終差分

ログの「差分」欄だけを抜き出すと、JGD2024B から東京測地系への総変位はこうなります。

地点 Δ緯度 Δ経度 最終出力
熊本県(宇土市付近) -12.1877″ +8.3733″ 緯度 32.65077353°, 経度 130.68256292°
石川県(穴水町付近) -10.7292″ +10.8585″ 緯度 37.21201968°, 経度 136.91001625°
新潟県(柏崎市付近) -10.8488″ +11.4175″ 緯度 37.36698644°, 経度 138.55917153°

この総変位の大半は最後の TKY2JGD 逆補正 が担っていますが、その手前で JGD2024B や JGD2011 側の地震補正が数千分の1秒から数百分の1秒単位で積み重なっている点が重要です。


変換フロー全体の見方

ログは、どれも次の4ブロックで構成されています。

1. JGD2024B -> JGD2011(=WGS84) 逆補正

JGD2024B は、JGD2011 相当の骨格に対して、2016年以降の突発的地殻変動を反映した座標系です。
そのため逆変換では、まず JGD2024B 側の地震補正を外す 処理が走ります。

2. JGD2011 -> JGD2000 補正

次に、2011年以前の補正を逆向きにたどって JGD2000 へ戻します。
ここでは jgdMerge2011 系の補正が効きます。

3. JGD2000 -> Tokyo 補正

旧来の東京測地系へ戻す段階では、TKY2JGD の逆補正 が使われます。ここが最終的な経緯度差分の主成分です。

4. Tokyo平面直角座標変換

最後に、東京測地系の緯度・経度を平面直角座標へ投影します。ログでは、各地点に応じて第2系、第7系、第8系が使われており、AUTO 指定で正しい系番号がそのままログに記録されています。


熊本県(宇土市付近)ログを左に、読み方を右に置く

熊本県(宇土市付近)は、3地点の中でいちばん素直です。JGD2024B 側で 2016年熊本地震の補正を外したあと、JGD2011→JGD2000 では補正エリア外のまま通過し、最後に TKY2JGD 逆補正と第2系投影で終わります。

熊本県(宇土市付近)ログ:

ログ抜粋 読み方
差分
Δ緯度: -12.1877"
Δ経度: +8.3733"
最終的な総変位です。ここには全ステージの寄与が合算されていますが、実質的な主成分は後段の TKY2JGD 逆補正です。
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正(1/4)】
ステップ1: 2016年 熊本地震(逆算)
メッシュコード: 48307584
補正量 Δ緯度: -0.0019" Δ経度: -0.0137"
JGD2024B に含まれている熊本地震由来の変位を最初に外しています。この地点では、逆変換の入口がはっきり 2016年熊本地震になっています。
【JGD2011→JGD2000 補正(2/4)】
ステップ1: JGD2011(逆算)
(補正エリア外)
2011年以前の個別補正が不要な地点だと分かる部分です。熊本県(宇土市付近)では、JGD2011 から JGD2000 への巻き戻しはほぼ素通りです。
【JGD2000→Tokyo 補正(3/4)】
ステップ1: TKY2JGD 逆補正(JGD2000→Tokyo)
補正量 Δ緯度: -12.1858" Δ経度: +8.3870"
総変位のほとんどを作っているのがここです。東京測地系特有のズレが、JGD2000 から Tokyo へ戻す段階で大きく現れます。
【TOKYO平面直角座標変換(第2系)(4/4)】
出力   X: -38677.261m  Y: -29775.377m
最後に東京測地系の緯度経度を第2系へ投影して、アプリで表示する平面直角座標にしています。地震補正ではなく、座標表現の変換です。

熊本県(宇土市付近)は、「JGD2024B に入っている最新補正を外し、その後は共通ルートで旧測地系へ落とす」という流れを最も素直に確認できるログです。


石川県(穴水町付近)ログを左に、読み方を右に置く

石川県(穴水町付近)は、2024年能登半島地震だけで終わらず、JGD2011→JGD2000 の区間で 2007年能登半島地震と 2011年東北地方太平洋沖地震まで順番に出てきます。

石川県(穴水町付近)ログ:

ログ抜粋 読み方
差分
Δ緯度: -10.7292"
Δ経度: +10.8585"
最終出力だけ見ると単純な Tokyo 変換に見えますが、実際にはこの差分の内側に複数時代の地震補正が含まれています。
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正(1/4)】
ステップ1: 2024年能登半島地震(逆算)
メッシュコード: 55366752
補正量 Δ緯度: -0.0068" Δ経度: +0.0338"
まず最新の能登半島地震補正を外します。JGD2024B は 2024年の変位を持っている座標系なので、ここが逆変換の出発点です。
【JGD2011→JGD2000 補正(2/4)】
ステップ1: 2007年 能登半島地震(逆算)
補正量 Δ緯度: +0.0012" Δ経度: -0.0043"

ステップ2: 2011年 東北地方太平洋沖地震(逆算)
補正量 Δ緯度: -0.0045" Δ経度: +0.0180"
更新後のログで読みやすくなった部分です。jgdMerge2011 の合成結果ではなく、どの地震をどう逆向きに外したかが個別ステップで見えます。石川県(穴水町付近)では 2007年と 2011年の両方が効いています。
【JGD2000→Tokyo 補正(3/4)】
ステップ1: TKY2JGD 逆補正(JGD2000→Tokyo)
補正量 Δ緯度: -10.7257" Δ経度: +10.8384"
ここで東京測地系固有の大きなズレを一気に戻します。前段の地震補正は細かな積み重ねですが、最終的な位置の主な見た目を決めるのはやはり TKY2JGD です。
【TOKYO平面直角座標変換(第7系)(4/4)】
出力   X: 134501.241m  Y: -22776.342m
Tokyo の緯度経度を第7系に投影して最終出力にしています。石川県(穴水町付近)では、この第7系がログに明示されることで地点との対応がかなり追いやすくなります。

石川県(穴水町付近)のログは、GeoConverterPro が時系列をさかのぼって補正を外していることを最もよく示しています。最新の 2024年補正だけでなく、過去の補正まで巻き戻してから Tokyo に入る構造が明瞭です。


新潟県(柏崎市付近)ログを左に、読み方を右に置く

新潟県(柏崎市付近)では、2024年能登半島地震の影響は小さく、その代わり JGD2011→JGD2000 の区間で 2007年中越沖地震が主役になります。地域差がいちばん見やすいログです。

新潟県(柏崎市付近)ログ:

ログ抜粋 読み方
差分
Δ緯度: -10.8488"
Δ経度: +11.4175"
最終差分は石川県(穴水町付近)と近く見えますが、中身はかなり違います。どの地震補正が効いているかは、後続のステージを見ないと分かりません。
【JGD2024B→JGD2011(=WGS84) 逆補正(1/4)】
ステップ1: 2024年能登半島地震(逆算)
補正量 Δ緯度: -0.0004" Δ経度: +0.0012"
ここはごく小さな変位です。柏崎は能登から離れているため、JGD2024B 側の最新補正はゼロではないものの、かなり小さい値にとどまっています。
【JGD2011→JGD2000 補正(2/4)】
ステップ1: 2007年 中越沖地震(逆算)
補正量 Δ緯度: +0.0044" Δ経度: -0.0046"

ステップ2: 2011年 東北地方太平洋沖地震(逆算)
補正量 Δ緯度: -0.0040" Δ経度: +0.0282"
この地点で本当に効いている地域補正はここです。2007年中越沖地震が明示されることで、新潟県(柏崎市付近)が石川県(穴水町付近)とは別の履歴を持つ地点だとすぐ分かります。
【JGD2000→Tokyo 補正(3/4)】
ステップ1: TKY2JGD 逆補正(JGD2000→Tokyo)
補正量 Δ緯度: -10.8481" Δ経度: +11.4399"
前段の地域補正を外し終えたあと、最後は共通の Tokyo 戻しに入ります。ここで総差分の大半が確定し、緯度経度が東京測地系側へ寄ります。
【TOKYO平面直角座標変換(第8系)(4/4)】
出力   X: 151667.162m  Y: 5240.385m
最後に第8系へ投影します。同じ「東京測地系 19系」への変換でも、ログの最終段で地点に応じた平面直角系が選ばれていることが分かります。

新潟県(柏崎市付近)のログは、JGD2024B 側の補正が小さくても、過去の地域補正が主役になる地点があることをはっきり示しています。


高さログは3地点を並べると見やすい

緯度経度だけでなく、高さログも変換の性格をよく表しています。3地点とも、GRS80 上の楕円体高を保ったままジオイドモデルが切り替わり、その後にベッセル楕円体へ3D直交座標変換されています。

地点 ログで見える値 読み方
熊本県(宇土市付近) H = 107.103m → H’ = 107.210m、h'(Bessel) = 89.112m、N'(Bess) = -18.098m 楕円体高やジオイド高は大きく変わっても、正標高はほぼ維持されます。
石川県(穴水町付近) H = 102.356m → H’ = 102.448m、h'(Bessel) = 82.867m、N'(Bess) = -19.581m GSIGEO2024 から GSIGEO2011 への切替分だけ、表示される標高がわずかに動きます。
新潟県(柏崎市付近) H = 100.893m → H’ = 101.004m、h'(Bessel) = 88.309m、N'(Bess) = -12.694m 地点が変わっても、処理の構造自体は同じです。高さログは地理座標とは別の変換層を見せています。

ここから分かるのは、GeoConverterPro が単なる平面変換ではなく、正標高、ジオイド高、楕円体高を分けて追跡しているという点です。


4隅補正値は補間の根拠そのもの

ログに出てくる 4隅補正値は、単なる付加情報ではありません。どのメッシュの値を使い、対象点用の補正量をどう作ったかを示す根拠です。

ログ抜粋 読み方
新潟県(柏崎市付近) / TKY2JGD 逆補正
左下[56380444] Δ緯度:+10.8473" Δ経度:-11.4344"
右下[56380445] Δ緯度:+10.8486" Δ経度:-11.4419"
左上[56380454] Δ緯度:+10.8435" Δ経度:-11.4355"
右上[56380455] Δ緯度:+10.8447" Δ経度:-11.4425"
GeoConverterPro はメッシュの代表値をそのまま当てているのではなく、4隅の値から双線形補間して、その地点専用の補正量を作っています。ログに4隅値が残ることで、「なぜその補正量になったか」をあとから検証できます。

この透明性があるので、変換結果の説明責任を人間が追える形で残せます。


まとめ

JGD2024B から東京測地系19系への変換ログを3地点で比較すると、GeoConverterPro の「座標変換の詳細説明」は単なるデバッグ表示ではなく、変換の根拠を読める形で並べる説明レイヤーだと分かります。

  • 熊本県(宇土市付近)では 2016年熊本地震の逆補正が入口になる
  • 石川県(穴水町付近)では 2024年能登、2007年能登、2011年東北が順番に現れる
  • 新潟県(柏崎市付近)では 2007年中越沖地震が地域固有の主役として出る
  • 最後はどの地点でも TKY2JGD と、その地点に対応した平面直角投影へ収束する

ログ本文と説明を横に並べると、どの行がどの意味を持つかを一往復で確認できます。変換結果だけでなく、どの補正が効き、どのメッシュと4隅値が根拠になっているかまで読めるところが、このログの価値です。


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