登記所備付地図データの座標系はどれ? — 地図XMLの公共座標・任意座標の見分け方と、止まったままの座標値

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登記所備付地図データの座標系はどれ? — 地図XMLの公共座標・任意座標の見分け方と、止まったままの座標値

登記所備付地図データの座標系はどれ? — 地図XMLの公共座標・任意座標の見分け方と、止まったままの座標値

2種類あり、ファイル名では区別できません。 測量に基づく地図は公共座標系(平面直角座標系1系〜19系・JGD2000またはJGD2011)、公図に基づく地図は任意座標系。どちらであるかは地図XMLをテキストエディタで開き、ヘッダー部を見て判断します。任意座標系のファイルをそのままGISに読み込んでも、本来の場所には表示されません。


登記所備付地図データとは

登記所備付地図は、土地の位置と区画(筆界)を明確にするために法務局(登記所)に備え付けられる地図です。これを電子化したものが登記所備付地図データで、2023年1月23日からG空間情報センターを通じて一般公開されています(ダウンロードにはユーザー登録が必要)。

注目される最大の理由は、地番を持っていることです。地番は一筆の土地を識別する固有の番号で、住居表示住所とは別の体系です。座標と地番が結びついたデータが公開された意味は小さくありません。

提供形式は、法務省が定める独自形式の地図XMLです。拡張子は .xml ですが、そのままGISソフトで開けるものではなく、変換を挟む必要があります。

ダウンロードしたZIP
 └ ZIP(登記所単位)
     ├ 一覧CSV(地番区域・地番など)
     └ *.xml  ← これが地図XML

座標系は2種類。ファイル名では分からない

元になった図 座標系 位置の意味
地籍調査などの測量成果 公共座標系 1系〜19系(平面直角座標系・JGD2000 または JGD2011) 実世界の位置に対応する
公図(地図に準ずる図面) 任意座標系 その図だけで完結する座標。実世界には対応しない

ここが実務での最初の関門です。地図XMLのファイル名からは、公共座標か任意座標かが判断できません。 判別するには、XMLをテキストエディタで開いてヘッダー部の座標系の記述を確認します。数百ファイルを扱うなら、この判別をスクリプトで先に回してから変換に入るのが安全です。

平面直角座標系19系の区分図

公共座標系なら、系番号さえ分かれば平面直角座標系の系としてそのまま緯度経度へ戻せます。JGD2000とJGD2011は水平位置の定義そのものは同じ体系なので、系番号と測地系の組合せが分かればEPSGコードも決まります(1系のJGD2011平面直角座標系なら EPSG:6669、以下19系まで連番)。

問題は任意座標系のほうです。


任意座標系は「変換できない座標」

任意座標系は、その成果を作ったときに任意に定めた基準点を原点とする座標です。成果ごとに原点も向きも縮尺も違うため、変換パラメータという概念が成立しません。

  • 複数の任意座標系の地図を同じGISに並べても、それぞれ別の場所に散らばる
  • 元になった公図の多くは地租改正期に作られたもので、精度・方位・縮尺そのものが信頼できるとは限らない
  • したがって「正しい変換式で直す」のではなく、基準になる図と重ねて人が位置合わせする作業になる

測地系が分からない座標をズレ量から見分けるという手が使えるのは、少なくとも実世界に対応した座標系である場合です。任意座標には、そもそも比べる相手がありません。

公共座標系のデータが全国を隙間なく覆っているわけでもありません。登記所備付地図データのうち公共座標系を持つのは全体の半分程度で、その分布は地籍調査の進捗とおおむね一致します。大都市圏ほど地籍調査が進んでいないため、「都市部だから整備されているだろう」という直感は当たりません(進捗の最新値は地籍調査Webサイトでご確認ください)。


見落としやすい留意点:座標値が「地震の前」で止まっている

G空間情報センターの案内には、実務上とても重要な注意書きがあります。

令和7年青森県東方沖の地震により基準点の測量成果が改定された地域についても、登記所備付地図データが公開されていますが、当該データ内の座標値は地震発生前の座標値となります。

つまり、公共座標系のデータであっても、その座標がいつの成果に基づくものかは別問題だということです。地殻変動で基準点の成果が改定された地域では、地図XMLの座標と、改定後の成果で測った現地の座標が食い違います。

測地系・元期の変換フロー図

同じ構図は熊本でも起きています。地震のあと、補正パラメータが用意されるまでのすき間で書いたとおり、「成果が改定された」ことと「手元のデータがその改定に追いついている」ことは別です。地図XMLを他のデータと重ねるときは、

  1. 座標系(公共/任意、系番号、JGD2000かJGD2011か)
  2. その座標がいつの成果に基づくか(=元期の問題)

の2段で確認する必要があります。1だけ合わせて安心すると、地殻変動のぶんだけ静かにずれます。


変換して使うときの選択肢

方法 特徴
G空間情報センターの変換済みデータ(Shapefile・GeoJSON) 手軽。ただし機械的に変換したものである旨が明記されている
デジタル庁公開の地図XML → GeoJSON コンバータ 自前のパイプラインに組み込める
GISソフトのインポート機能・アドイン GIS内で完結する

いずれの場合も、変換後に必ず起きるのが軸の順序の問題です。平面直角座標系は測量の慣習で「X=北方向、Y=東方向」ですが、GISやGeoJSONの世界では「X=東(経度)、Y=北(緯度)」です。XYの取り違え緯度経度の並び順は、地図XMLに限らずこの種の変換で最も頻繁に起きる事故です。

また、ラインを構成する部分に同一の座標値が連続して書かれ、XMLとしては正しいのにジオメトリとしては成立しないデータが混ざっている例が報告されています。一括変換を回すなら、エラーで止まったファイルを飛ばして続行できる作りにしておくと作業が楽になります。


まとめ

  • 登記所備付地図データは地図XMLで提供され、座標系は公共座標系(平面直角座標系1〜19系・JGD2000/JGD2011)任意座標系のいずれか
  • ファイル名では区別できない。XMLのヘッダー部を見て判別する
  • 任意座標系は変換式で直せる種類のものではない。公図に由来し、精度・方位・縮尺も保証されない
  • 公共座標系のデータは全国の半分程度で、分布は地籍調査の進捗と重なる
  • 成果改定があった地域の座標値は改定前のままという注意書きがある。座標系だけでなく「いつの成果か」も確認する
  • 変換後はXY軸の順序と、ジオメトリ不正データの扱いに注意する

GeoConverter Pro は、平面直角座標系と緯度経度、旧日本測地系と世界測地系のあいだの変換を扱うアプリです。地図XMLから取り出した公共座標を別の座標系へ移すとき、系番号と測地系の組合せを取り違えていないかの確認に使えます。

出典

  • 法務省「地図データのG空間情報センターを介した一般公開について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00494.html
  • 法務省「地図情報システムで取り扱う地図情報のデータ形式について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00171.html
  • G空間情報センター「法務省登記所備付地図データに関するご案内」 https://front.geospatial.jp/moj-chizu-xml-readme/
  • デジタル庁「登記所備付地図データ(地図XML形式)変換コンバータの公開について」 https://www.digital.go.jp/news/4b7250a3-3fcf-4b83-8d52-4bb131e1ba9d/
  • 地籍調査Webサイト「登記所備付地図の整備状況」 http://www.chiseki.go.jp/about/touki_chizu/index.html

記載は2026年8月時点の公表情報に基づきます。公開データの年度版・注意事項は更新されるため、利用前にG空間情報センターの案内をご確認ください。


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