座標変換対応表ガイド — WGS84・JGD2024から平面直角座標(1〜19系)まで全変換経路を解説

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はじめに

「WGS84 から JGD2024 に変換するとき、どのパラメータが使われるのか?」「東京測地系から平面直角座標に変換するには何ステップ必要?」— 日本の測量・GIS 業務では、複数の測地系と投影座標系が混在しており、変換経路がわかりにくくなりがちです。

本記事では、GeoConverterPro が対応するすべての座標系について、どの座標系からどの座標系へ、どの順序でたどるかという変換フローと、各変換で使用するパラメータ・精度の目安を整理します。


対応座標系一覧

GeoConverterPro は以下の座標系に対応しています。

# 座標系 略称 概要
1 WGS84 / GNSS測位値 W84 GPS・スマートフォンの標準測地系(ITRF2020/GRS80楕円体)
2 JGD2000 J00 日本の世界測地系(2002年〜)。WGS84とほぼ一致
3 JGD2011 J11 東日本大震災後の地殻変動を反映した日本測地系
4 JGD2024 J24 最新の日本測地系(2024年〜)。国家基準系
5 JGD2024B J24B JGD2024 + 地震補正(熊本・能登等の変動を加味)
6 JGD2024C J24C JGD2024 + セミダイナミック補正(経年地殻変動)
7 JGD2024D J24D JGD2024 + 定常時地殻変動補正(プレート運動等)
8 東京測地系 TKY 旧日本測地系(〜2002年)。ベッセル楕円体使用
9 平面直角座標(1〜19系) Pxy JGD2011/JGD2024準拠のガウス・クリューゲル投影

WGS84 と JGD2024 の関係:GeoConverterPro の実装では、WGS84(ITRF2020)と JGD2024 は同一座標として扱います。pos2jgd パラメータは、WGS84/JGD2024 に対して定常時地殻変動補正を適用した JGD2024D を求めるときに使用します。


座標変換フローの見方

GeoConverterPro の座標変換は、一覧表を縦横に読むよりも、基本フローのどこから入り、どこで止めるかで理解したほうが誤解が出にくくなります。

基本フロー(測地系・地理座標)

フロー画面

  • JGD2024B / JGD2024C / JGD2024D は、いずれも JGD2024 を基準に出入りします。
  • JGD2024 から先は、JGD2011、JGD2000、TOKYO へ順にたどる共通フローです。
  • 実際の変換では、変換元から共通フローに入り、変換先で止めるだけなので、どこから開始してどこで終了してもかまいません。

たとえば次のように読めます。

  • JGD2024C -> JGD2000 は、JGD2024C -> JGD2024 -> JGD2011 -> JGD2000
  • TOKYO -> JGD2024D は、TOKYO -> JGD2000 -> JGD2011 -> JGD2024 -> JGD2024D
  • JGD2024B -> JGD2024D は、JGD2024B -> JGD2024 -> JGD2024D

全座標系から第1〜第19系へ投影できる

平面直角座標は独立した別系統ではなく、各測地座標の出口に付く投影ステップです。

JGD2024B/C/D, JGD2024, JGD2011, JGD2000, TOKYO
     <-> 地理座標(緯度・経度)
     <-> 平面直角座標(第1系〜第19系)
  • どの測地系を表示していても、第1系〜第19系への変換を後段に付けられます。
  • 逆に、平面直角座標から入る場合は、まず対応する測地座標へ戻してから共通フローに入ります。
  • つまり平面直角座標も、基本フローの「前」または「後」に接続されると考えると整理しやすくなります。

JGD2024 と JGD2011 の差は主にジオイドモデル

GeoConverterPro の実装では、JGD2024 と JGD2011 の間で緯度・経度は同一値として扱います。違いの中心は、標高計算に使うジオイドモデルです。

JGD2024(緯度・経度は同じ)
     <-> ジオイド2024で標高計算

JGD2011(緯度・経度は同じ)
     <-> ジオイド2011で標高計算
  • 緯度・経度の差ではなく、標高計算の基準が変わると理解すると分かりやすいです。
  • そのため JGD2024 <-> JGD2011 は、他の補正系のような大きな座標移動ではなく、主にジオイドモデルの切替として読みます。

このフローはどこから始めても、どこで終えてもよい

GeoConverterPro の内部処理は、決まった一方向だけを想定したものではありません。

  • 東京測地系から始めて JGD2024B で止めてもよい
  • JGD2024D から始めて JGD2011 で止めてもよい
  • JGD2000 から始めて第7系で止めてもよい

重要なのは、全部の組み合わせを個別表で覚えることではなく、共通フロー上のどこを通るかを把握することです。


各変換経路の詳細解説

1. WGS84(GNSS測位値)↔ JGD2024 :ジオイド2024で標高計算、緯度経度は同じ

GeoConverterPro の実装では、WGS84(ITRF2020)と JGD2024 は同じ緯度・経度として扱います。違いが出るのは標高計算に使うジオイドモデルで、JGD2024 では JPGEO2024 に基づくジオイド高を使って標高を再計算します。

項目 内容
緯度・経度 同じ値をそのまま使用
標高計算 ジオイド2024で再計算
使用パラメータ JPGEO2024.db
補正内容 座標補正なし
GNSS/WGS84(ITRF2020)
     ↓ 緯度経度はそのまま
JGD2024
     ↓ ジオイド2024で標高を計算
標高

2. WGS84(GNSS測位値)↔ JGD2011 :ジオイド2011で標高計算、緯度経度は同じ

GeoConverterPro の実装では、WGS84 と JGD2011 も同じ緯度・経度として扱います。JGD2011 を選んだ場合は、gsigeo2011 ver.2.2 に基づくジオイド高で標高を計算します。

項目 内容
緯度・経度 同じ値をそのまま使用
標高計算 ジオイド2011で再計算
使用パラメータ gsigeo2011_ver2_2.db
補正内容 座標補正なし
GNSS/WGS84(ITRF2020)
     ↓ 緯度経度はそのまま
JGD2011
     ↓ ジオイド2011で標高を計算
標高

3. JGD2011 → JGD2024B :地震補正を行う

JGD2024B は、JGD2011 を基準にした座標へ jgdMerge2024 の地震補正を適用した座標です。2016年以降の主な地震による座標変位を反映します。

項目 内容
緯度・経度 jgdMerge2024 により補正
標高計算 補正後の座標でジオイド2024を使用
使用パラメータ jgdMerge2024.db``JPGEO2024.db
主な用途 地震変動地域の既存データ更新
GNSS/WGS84(ITRF2020)
     ↓ jgdMerge2024 地震補正
JGD2024B

4. JGD2011 ↔ JGD2024C :セミダイナミック補正を行う

JGD2024C は、JGD2011 を基準にした座標へ SemiDyna によるセミダイナミック補正を適用した座標です。測量作業年に応じた経年地殻変動を反映したい場合に使います。

項目 内容
緯度・経度 SemiDyna により補正
標高計算 補正後の座標でジオイド2024を使用
使用パラメータ SemiDyna2026.db``JPGEO2024.db
主な用途 GNSS測量、座標成果の年次補正
GNSS/WGS84(ITRF2020)
     ↓ SemiDyna補正
JGD2024C

5. JGD2011 → JGD2024D :定常時地殻変動補正を行う

JGD2024D は、JGD2011 を基準にした座標に pos2jgd による定常時地殻変動補正を適用した座標です。プレート運動などの常時変動を反映したい場合に使います。

項目 内容
緯度・経度 pos2jgd により補正
標高計算 補正後の座標でジオイド2024を使用
使用パラメータ pos2jgd_202601_ITRF2020.db``JPGEO2024.db
主な用途 リアルタイム GNSS 補正、定常時変動反映
GNSS/WGS84(ITRF2020)
     ↓ pos2jgd補正
JGD2024D

6. JGD2024 ↔ JGD2011 / JGD2011 ↔ JGD2000

6-1. JGD2024 ↔ JGD2011 :ジオイド2024とジオイド2011を切り替える

GeoConverterPro の実装では、JGD2024 と JGD2011 の間で緯度・経度は同じ値として扱います。主な違いは標高計算に使うジオイドモデルで、JGD2024 は JPGEO2024、JGD2011 は gsigeo2011 ver.2.2 を使います。

項目 内容
緯度・経度 同じ値をそのまま使用
標高計算 geoid2024 と geoid2011 を切り替え
使用パラメータ JPGEO2024.db gsigeo2011_ver2_2.db
主な用途 測地系表示の切替、旧来成果との比較
JGD2024
     ↓ 緯度経度はそのまま
JGD2011
     ↓ ジオイド2011で標高を計算
標高

6-2. JGD2011 ↔ JGD2000 :2011年までの地震補正を行う

JGD2000 と JGD2011 の間では、jgdMerge2011 による地震補正を使います。2003年から 2011年までの主な地殻変動を反映して、JGD2000 時代の座標成果を JGD2011 基準に揃えます。

項目 内容
緯度・経度 jgdMerge2011 により補正
標高計算 ジオイド2011で計算
使用パラメータ jgdMerge2011.db
主な用途 JGD2000 成果の JGD2011 への更新
JGD2000
     ↓ jgdMerge2011 地震補正
JGD2011

7. JGD2000 ↔ 東京測地系 :旧来地図・CAD データを現代測地系に変換する

東京測地系と JGD2000 の変換には TKY2JGD を使います。戦前から 2002年以前に作成された旧来地図や CAD データを、現在の測地系へ取り込むときの基本経路です。

項目 内容
緯度・経度 TKY2JGD により補正
標高計算 ジオイド2011で計算
使用パラメータ TKY2JGD.db
主な用途 旧版地図、旧図面、CAD データの現代化
東京測地系(ベッセル楕円体)
     ↓ TKY2JGD補正
JGD2000(GRS80楕円体)

8. JGD2000 → JGD2011 → JGD2024 :地震補正チェーン

JGD2000 は 2002〜2011年の基準系です。2011年東日本大震災以降の地殻変動を反映するため、段階的に補正を適用します。

JGD2000
  ↓ jgdMerge2011(2003〜2011年の地震8件分の地殻変動補正)
JGD2011
  ↓ jgdMerge2024(2016〜2024年の地震4件分の地殻変動補正)
JGD2024B(地震補正済み)

jgdMerge2011 に含まれる地震補正

地震名 主な影響地域
十勝沖地震 2003 北海道東部
福岡県西方沖地震 2005 福岡・佐賀
能登半島地震 2007 石川・富山
新潟県中越沖地震 2007 新潟
岩手・宮城内陸地震 2008 岩手・宮城
宮古島近海地震 2008 沖縄
東日本大震災 2011 東北〜関東(最大変動)

jgdMerge2024 に含まれる地震補正

地震名 主な影響地域
熊本地震 2016 熊本・大分
令和6年能登半島地震 2024 石川・富山・新潟
令和6年能登半島地震(補完) 2024 同上
日向灘地震 2024 宮崎・大分

9. 測地座標 ↔ 平面直角座標 :Gauss-Krüger 投影

緯度・経度から平面 X/Y(メートル)への変換、および逆変換。

項目 内容
投影法 横メルカトール(Gauss-Krüger)投影
準拠楕円体 GRS80(JGD2011/JGD2024共通)
対応系番号 第1系〜第19系(全系対応)+Auto自動判定
逆変換 平面 X/Y → 緯度・経度(完全逆変換対応)
任意の測地座標(緯度・経度)
     ↓ Gauss-Krüger投影(系番号を指定またはAuto判定)
平面直角座標(X, Y: メートル値)
     ↓ Gauss-Krüger逆投影(完全逆変換)
元の測地座標(緯度・経度)

平面直角座標(1〜19系)早見表

第1系〜第19系の適用地域一覧。GeoConverterPro は全系に対応し、Auto モードでは GPS 座標から系番号を自動判定します。

平面直角座標系の系番号選択

平面直角座標系1〜19系の適用範囲
平面直角座標系1〜19系の適用範囲(拡大1)

平面直角座標系1〜19系の適用範囲(拡大2)

平面直角座標系1〜19系の適用範囲(拡大3)

系番号 主な適用地域 中央経線 原点緯度
第1系 長崎県・鹿児島県(一部) 東経 129°30′ 北緯 33°
第2系 福岡・佐賀・熊本・大分・宮崎・鹿児島 東経 131° 北緯 33°
第3系 山口・島根・広島 東経 132°10′ 北緯 36°
第4系 香川・愛媛・徳島・高知 東経 133°30′ 北緯 33°
第5系 兵庫・鳥取・岡山 東経 134°20′ 北緯 36°
第6系 京都・大阪・福井・滋賀・三重・奈良・和歌山 東経 136° 北緯 36°
第7系 石川・富山・岐阜・愛知 東経 137°10′ 北緯 36°
第8系 新潟・長野・山梨・静岡 東経 138°30′ 北緯 36°
第9系 東京都(本州)・福島・栃木・茨城・埼玉・千葉・群馬・神奈川 東経 139°50′ 北緯 36°
第10系 青森・秋田・山形・岩手・宮城 東経 140°50′ 北緯 40°
第11系 小樽・函館・胆振・日高・渡島・檜山 東経 140°15′ 北緯 44°
第12系 札幌・旭川・後志・石狩・空知・上川・留萌 東経 142°15′ 北緯 44°
第13系 鹿児島県(離島部) 東経 144°15′ 北緯 44°
第14系 沖縄県(本島周辺) 東経 142° 北緯 26°
第15系 沖縄県(先島諸島) 東経 127°30′ 北緯 26°
第16系 沖縄県(大東島周辺) 東経 124° 北緯 26°
第17系 東京都(小笠原村部) 東経 131° 北緯 26°
第18系 東京都(南鳥島) 東経 136° 北緯 26°
第19系 東京都(沖ノ鳥島) 東経 154° 北緯 26°

Auto 自動判定:現在の GPS 座標(緯度・経度)から最適な系番号を自動的に選択します。「Auto(9系)」のように判定結果が括弧内に表示されます。
⚠️ Auto 自動判定の注意: 現在位置からもっとも近い第1〜19系の座標原点を系番号として判定しています。系の境界付近では正しい系番号にならない場合があります。境界付近では Auto は使わず、正しい系番号を手動で指定してください。


使用するパラメータ DB と変換フロー

測地系変換に使う DB の全体構成

GNSS/WGS84(ITRF2020)
│
├─ 同一座標として扱う ────────────────> JGD2024
│
├─ jgdMerge2024補正 ────────────────> JGD2024B(地震補正)───> JGD2024
│     └─ jgdMerge2024.db
│
├─ SemiDyna補正 ──────────────> JGD2024C(セミダイナミック)───> JGD2024
│     └─ SemiDyna2026.db(年度更新)
│
├─ pos2jgd補正 ────────────────> JGD2024D(帝常時地殻変動補正))───> JGD2024
│     └─ pos2jgd_202601_ITRF2020.db(2ヶ月毎更新)
│
└─ jgdMerge2011補正 ────────────────> JGD2011(地震補正))───> JGD2000
      └─ jgdMerge2011.db

JGD2000
│
└─ TKY2JGD補正 ────────────────> TKY2JGD(累積変異量)───> TOKYO
      └─ TKY2JGD.db

高さ
│
├─ ジオイド2024補正 ────────────────> JGD2024/JGD2024B/JGD2024V/JGD2024D
│     └─ JPGEO2024.db
│
└─ ジオイド2011補正 ────────────────> JGD201/JGD2000/TOKYO
    └─ gsigeo2011_ver2_2.db

任意の測地系(地理座標)
│
└─ Gauss-Krüger投影(第1〜19系)────────────────>  平面直角座標(X,Y)

楕円体高・標高変換

項目 JGD2011準拠 JGD2024準拠
ジオイドモデル gsigeo2011 ver.2.2 JPGEO2024
グリッド間隔 1分×1.5分(約1km) 1分×1.5分(約1km)
DBサイズ 95MB(全2,163,001点) 167MB(有効224,677点)
計算式 標高 H = 楕円体高 h − ジオイド高 N 同左

用途別:推奨変換経路

用途 推奨変換 使用パラメータ
スマートフォンGNSS → 国家基準 WGS84 → JGD2024 補正なし(同一座標として扱う)
測量業務(GNSS基準点測量) WGS84 → JGD2024C SemiDyna
旧図面データのデジタル化 東京測地系 → JGD2011 TKY2JGD + jgdMerge2011
土木CAD(平面直角座標) WGS84 → 平面直角(各系) JGD2024 として扱って GK投影
JGD2011データの更新 JGD2011 → JGD2024C SemiDyna
地震変動地域での精密測量 JGD2011 → JGD2024B jgdMerge2024
リアルタイムGNSS補正 WGS84 → JGD2024D pos2jgd(定常時)

まとめ

GeoConverterPro では、上記すべての変換組み合わせを 1アプリ・オフライン で完結します。

  • 測地系変換(9系統): WGS84・JGD2000・JGD2011・JGD2024・JGD2024B/C/D・東京測地系・平面直角(1〜19系)
  • パラメータ内蔵(7DB): pos2jgd・SemiDyna2026・TKY2JGD・jgdMerge2011・jgdMerge2024・ジオイド2011・ジオイド2024
  • 精度: バイリニア補間+3次メッシュで 1〜2cm クラス
  • 自動経路選択: 変換元・変換先を指定するだけで最適な変換チェーンを自動適用

座標変換に関するご質問は、アプリ内サポートまたはFAQ ページをご参照ください。


参考リンク(国土地理院)

リソース URL
pos2jgd パラメータ https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/pos2jgd.html
SemiDyna パラメータ https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/semidyna.html
TKY2JGD パラメータ https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/tky2jgd.html
PatchJGD(地震補正) https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/patchjgd.html
平面直角座標系 原点一覧 https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/jpc.html
ジオイドモデル https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/geoid.html

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