写真のExifの緯度経度、測地系はどれ? — WGS-84が既定、それでも「TOKYO」と書かれた写真が届く理由

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写真のExifの緯度経度、測地系はどれ? — WGS-84が既定、それでも「TOKYO」と書かれた写真が届く理由

写真のExifの緯度経度、測地系はどれ? — WGS-84が既定、それでも「TOKYO」と書かれた写真が届く理由

ほぼすべての機材でWGS-84です。 Exifには測地系を書くための GPSMapDatum というタグがあり、スマートフォンやデジタルカメラ、ドローンが記録するジオタグは事実上これが WGS-84 です。問題は、このタグが空欄の写真と、TOKYO と書かれた写真が混ざって届いたとき。前者は読み方を決める必要があり、後者を素通しすると約400mずれます。Exifの位置情報を安全に扱うための確認順を整理します。


Exifの位置情報は「GPSタグ」というひとかたまり

Exifの規格の正本は、CIPAとJEITAが定める CIPA DC-008(JEITA CP-3451)です。最新版は2023年5月に公開されたExif 3.0にあたります。

位置情報は、そのなかのGPSタグ群にまとまっています。実務で読むことになるのは、だいたい次の6つです。

タグ ID 内容
GPSVersionID 0x0000 GPSタグのバージョン
GPSLatitudeRef 0x0001 N または S
GPSLatitude 0x0002 度・分・秒を3つのRATIONAL
GPSLongitudeRef 0x0003 E または W
GPSLongitude 0x0004 同上
GPSMapDatum 0x0012 測地系(ASCII文字列)

ここで最初のつまずきどころが GPSLatitude の形式です。

緯度は「1つの小数」では入っていない

GPSLatitude3つのRATIONAL値、つまり分子と分母のペア3組で記録されます。度・分・秒をそれぞれ分数で持つ形です。

たとえば北緯25度45分30.5秒なら、

GPSLatitude    = [25/1, 45/1, 305/10]
GPSLatitudeRef = "N"

十進度に直すには 25 + 45/60 + 30.5/3600 を計算し、GPSLatitudeRefS なら符号を反転します。符号は緯度の値そのものではなく、別タグに入っている——ここが素朴に読むとハマるところです。同じことが経度でも起きます(W なら負)。

秒の分母は機材によってばらばらです。305/10 と書く機材もあれば 30500000/1000000 と書く機材もあります。分数のまま扱えば精度は落ちませんが、途中で浮動小数点に落とすと桁が削れます。緯度0.0001度がおよそ11mですから、どこで丸めるかは無視できません。

本題:測地系は何か

GPSMapDatum(0x0012)は、GPS受信機が用いた測地系をASCII文字列で記録するタグです。

Exifの仕様には、測量データが日本国内に限定される場合の値として TOKYO または WGS-84 を挙げる記述があります。裏を返すと、日本国内向けの機材では「TOKYO」が正規の選択肢として最初から用意されていたということです。

現在のスマートフォン・デジタルカメラ・ドローンは、GPSがそもそもWGS84準拠で軌道情報を放送している以上、WGS-84 を書きます。実務で TOKYO に出会うのは、次のような素性の写真です。

  • 2000年代のGPSロガー・GPS内蔵カメラ。当時の機材には「測地系:Tokyo / WGS84」という設定項目があり、日本の紙地図と突き合わせる目的でTokyoに設定されていた個体がある
  • 古いソフトで後付けしたジオタグ。取り込み元の地図やGPXが日本測地系だった場合
  • 過去のアーカイブから掘り出した写真

TOKYO(日本測地系)と世界測地系の差は、日本国内でおよそ400m。地図に落とせば一目で分かるほどずれますが、逆に言えば「なんとなく合っている」写真が1枚だけ紛れ込んでも気づきにくい距離でもあります。

GPSMapDatumが空欄のとき

やっかいなのは、GPSMapDatum タグ自体が書かれていない写真です。実際にはこちらのほうが多数派です。

このとき取れる立場は2つあります。

  1. WGS-84とみなす。GPSがWGS84基準である以上、現行機材ではこれが実態に合う
  2. 判断を保留し、素性を確認する

多くの現場では1で運用して問題ありません。ただし、撮影年が古い写真、出所が分からない写真、他社から受け取った写真が混ざるフォルダでは、1を無条件に適用すると事故になります。

このとき効くのが、ずれ量から測地系を見分けるやり方です。既知の地物(建物の角、基準点、道路交差点)が写っている写真を1枚選び、Exifの座標を地図に落として実際の位置と比べます。約400mの系統的なずれが北西方向に出るなら日本測地系、数m以内に収まるなら世界測地系です。1枚で判定できれば、同じ機材・同じ時期の写真はまとめて扱えます。

標高も同じ問題を抱えている

GPSAltitude(0x0006)と GPSAltitudeRef(0x0005)にも触れておきます。GPSAltitudeRef は「海面より上か下か」を示すバイト値で、単位はメートルです。

ここで注意したいのは、GNSSが直接測っているのは楕円体高であって標高ではないという点です。機材やOSによってジオイド高を差し引いてから書くものと、楕円体高をそのまま書くものがあり、Exifのタグだけからはどちらか判別できません。日本ではジオイド高がおおむね30〜40m台なので、取り違えると数十mの差になります。

写真の高さを設計値や図面と突き合わせる用途では、まず「その機材が何を書いているか」を1件テストして確かめるのが確実です。

GeoConverter Proの座標変換画面。WGS84・東京測地系・JGD2024Bの緯度経度と、楕円体高・ジオイド高・標高が並んで表示されている

上はGeoConverter Proの変換画面です。同じ地点でも、WGS84と東京測地系では緯度経度が3桁目から違い、楕円体高・ジオイド高・標高が別々の行に出ています。Exifから取り出した値がどの行に相当するのかを決めてから使う——手順としてはそれだけのことですが、決めずに進むと後で戻れなくなります。

工事写真として提出するとき

国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」(令和5年3月版)では、電子媒体で写真原本を提出する際のフォルダ構成として、写真ファイルを格納する PIC と、撮影位置図・平面図・凡例図などの参考図を格納する DRA が定められています。撮影位置の説明は参考図として別に添える建て付けになっており、Exifのジオタグそのものが位置の正本として指定されているわけではありません。

したがって実務上は、Exifの座標は「撮影位置図を作るための材料」という位置づけになります。材料である以上、測地系がそろっていないまま図面に落とすと、位置図のほうが狂います。発注者や自治体が独自基準を定めている場合もあるため(たとえば名古屋市上下水道局は国交省基準に基づく独自基準を制定しています)、提出先の要領を先に確認するのが安全です。

確認の順番

まとめると、Exifの位置情報を受け取ったときの手順はこうなります。

  1. GPSMapDatum を見る。WGS-84 ならそのまま使える
  2. TOKYO なら日本測地系→世界測地系の変換が必須。約400mずれる
  3. 空欄なら、撮影年・機材・入手経路を確認する。古い素性なら既知点で1枚だけ検証する
  4. GPSLatitude / GPSLongitude は度分秒×RATIONAL。Refタグの N/SE/W で符号を付けるのを忘れない
  5. GPSAltitude は楕円体高か標高か不明。機材ごとに1件テストして確かめる
  6. 図面・GISに載せる前に、既知の地物1点で位置を目視確認する

まとめ

  • Exifの規格の正本はCIPA DC-008(JEITA CP-3451)。最新版はExif 3.0(2023年5月公開)
  • 測地系は GPSMapDatum(0x0012)。現行のスマホ・カメラ・ドローンは事実上 WGS-84
  • Exif仕様は、日本国内に限定される場合の値として TOKYO または WGS-84 を挙げている。古いGPSロガー・GPS内蔵カメラには TOKYO 設定の個体がある
  • TOKYO と世界測地系の差は日本国内でおよそ400m。素通しすると地図上で明確にずれる
  • GPSMapDatum が空欄の写真は多い。撮影年と入手経路を確認し、既知点で1枚検証するのが安全
  • 緯度経度は度分秒×3つのRATIONAL。符号は GPSLatitudeRef / GPSLongitudeRef から付ける
  • GPSAltitude は楕円体高か標高か規格からは判別できない。日本では取り違えると数十mの差になる
  • 工事写真では、Exifの座標は撮影位置図(DRA フォルダの参考図)を作るための材料。提出先の要領を先に確認する

出典

  • CIPA「DC-008 Exchangeable image file format for digital still cameras(Exif)」 https://www.cipa.jp/std/documents/e/DC-008-2012_E.pdf
  • 国土交通省「デジタル写真管理情報基準」令和5年3月 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001596260.pdf

本記事の内容は2026年9月時点の規格・基準に基づきます。Exifの版や機材のファームウェアによってタグの書かれ方は変わるため、実際の運用では手元の機材の出力を1件確認してから判断してください。


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