3次元電子国土基本図とは — 高さが付いたのは建物・道路・鉄道だけ、基盤地図情報やPLATEAUとの違い

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3次元電子国土基本図とは — 高さが付いたのは建物・道路・鉄道だけ、基盤地図情報やPLATEAUとの違い

3次元電子国土基本図とは — 高さが付いたのは建物・道路・鉄道だけ、基盤地図情報やPLATEAUとの違い

電子国土基本図のうち、「建物」「道路(道路中心線)」「鉄道(軌道の中心線)」の3つに高さを持たせたデータです。 2026年4月1日に提供が始まり、令和10年度末の全国整備を目指しています。ダウンロードサービスから入手する基盤地図情報とは別で、販売品の「数値地図(国土基本情報)」に3次元データとして追加される形で配られます。高さは2次元の地図データとは別に作って組み合わせているため、作成方法に起因する特性があると国土地理院自身が注記しています。

高さが付いたのは3つの地物だけ

電子国土基本図は、日本全域をカバーする各種の地図の基礎になる地図データです。これまで2次元の地図情報として提供されてきましたが、そのうち次の3つに高さが付きました。

地物 形
建物 建築物
道路 道路中心線
鉄道 軌道の中心線

道路は「道路縁」ではなく中心線、鉄道も軌道の中心線です。つまり3次元になったのは線と建物で、それ以外の地物は2次元のまま残ります。「3次元の地図が出た」という言い方から想像する範囲よりは、だいぶ絞られています。

提供の初弾は、北海道・山形県・静岡県・京都府・兵庫県・島根県・宮崎県の一部地域。整備と提供の準備が整い次第、順次拡大される予定です(報道発表は2026年3月25日、提供開始は同年4月1日)。

どこに入っているデータなのか — 数値地図(国土基本情報)

3次元電子国土基本図は、単独の製品ではありません。従来から販売されている数値地図(国土基本情報)の2次元データに、高さの情報を付加する形で提供されます。製品には従来の2次元データに加えて3次元データも格納され、3次元データの有無で価格は変わりません。

数値地図(国土基本情報)そのものの性格も押さえておくと混乱しません。

  • 基盤地図情報、数値地図シリーズ(空間データ基盤、行政界・海岸線、地名・公共施設)、数値標高データ(5m・10m・50mメッシュ)をすべて統合し、地図表現に必要な各種データ項目と属性情報を加えた総合的な地理空間情報
  • 中身は4種類 — 地図情報/地名情報/メッシュ標高情報/付属資料
  • 地図情報の位置精度は、都市域で縮尺1/2,500相当以上、その他の地域で1/25,000相当以上
  • データ形式は JPGISに準拠した符号化(GML)形式とシェープファイル形式から選べる
  • 提供単位は、2万5千分の1地形図の標準的な図郭と同じ2次メッシュ(海部の多い隣接2次メッシュをまとめている場合がある)
  • 付属資料は旧来の2万5千分1地形図の情報に基づいており、確認・更新がなされていないものがある

ダウンロードサービスの基盤地図情報とは、別のデータ

ここを取り違えると作業が1日ずれます。基盤地図情報は基盤地図情報ダウンロードサービスから入手するデータで、数値地図(国土基本情報)はそれを含みつつ販売されている製品です。

基盤地図情報(基本項目)に入っているのは、地理空間情報活用推進基本法で規定され国土交通省令で定められた10項目です。

測量の基準点/海岸線/行政区画の境界線及び代表点/道路縁/軌道の中心線/標高点/水涯線/建築物の外周線/市町村の町若しくは字の境界線及び代表点/街区の境界線及び代表点

「軌道の中心線」も「建築物の外周線」も基盤地図情報の側にあります。 ただし高さが付いているのは3次元電子国土基本図の側です。同じ名前の地物が別の製品に入っているので、「どちらの軌道中心線か」を発注・受領の時点で書き分けておく必要があります。

座標の扱いも違います。基盤地図情報はすべてのファイルで世界測地系の経緯度座標(度単位)、座標値は小数点以下9桁まで整備されています。ただし精度は整備方法や使用した情報によって異なり、必ずしも小数点以下9桁まで有効値ではありません。桁数を精度と読み違えないことが実務の要点です。提供単位も、基盤地図情報(基本項目)は2次メッシュ、数値標高モデルの1m・5mメッシュは3次メッシュ、10mメッシュは2次メッシュ、ジオイド・モデルの250mメッシュは1次メッシュと分かれています。基本項目の更新は年4回(1月・4月・7月・10月)です。

受け取ったときに引っかかる5つの注記

公開ページに書かれている注意を、実務の順に並べ直すとこうなります。

# 注記 実務での意味
1 3次元データは2次元の地図データと別に作った高さを組み合わせている 平面位置と高さの出どころが違う。国土地理院は「作成方法に起因する様々な特性」を別資料で示している
2 建物の極大標高は整備途中 建物の高さが入っていない範囲がある。全件そろっている前提で集計しない
3 更新年月日は2次元のみの更新でも日付が更新される 「日付が新しい=3次元が更新された」とは読めない
4 公式の「数値地図(国土基本情報)等閲覧ツール」は3次元データの表示に未対応 中身の目視確認には別のソフトが必要
5 サンプルデータは測量に用いることはできない 3次元のサンプルは二次メッシュ583906(鶴岡)の一部。形式確認用

仕様を確かめるときは、2次元側の「地図情報(付属資料を含む)ファイル仕様書」と、3次元側の「地図情報 3次元データ ファイル仕様書」「同 応用スキーマ」「同 メタデータ」(いずれも令和8年4月1日版)が別立てになっている点にも注意します。

PLATEAUとの違い

同じ「3次元の地図」でも、設計思想が違います。

3次元電子国土基本図 PLATEAU(3D都市モデル)
範囲の考え方 全国統一規格で順次整備(令和10年度末に全国) 参加自治体の都市単位
対象 建物・道路中心線・軌道中心線 建築物・交通・土地利用などCityGMLの各モデル
形式 GML/シェープファイル CityGML
使いどころ 全国を同じ規格でそろえたい解析 都市の詳細度(LOD)を活かした解析

全国を同じ物差しでそろえたいなら前者、都市の作り込みが欲しいなら後者、という使い分けになります。

高さを扱うときに共通で効くこと

楕円体高=標高+ジオイド高の関係を示す断面概念図

3次元のデータを受け取ったら、まずその高さが何を基準にした値なのかを仕様書で確かめます。標高(T.P.基準)なのか楕円体高なのか、地面からの相対の高さなのかで、重ねたときのずれ方がまったく変わります。参考までに、基盤地図情報の数値標高モデルの標高値は一部の離島を除きT.P.(東京湾平均海面)基準です。

GeoConverter Proは平面直角座標系(第1〜19系)と緯度経度の相互変換、測地系間の変換と、使った測地系・パラメータを含む変換詳細のテキスト保存に対応しています。受け取ったデータの平面位置をそろえる段では、そのまま使えます。

まとめ

  • 3次元電子国土基本図は、電子国土基本図の建物・道路中心線・軌道中心線の3つに高さを持たせたもの。2026年4月1日提供開始、令和10年度末の全国整備が目標
  • 単独製品ではなく、販売品の数値地図(国土基本情報)に3次元データとして入る。3次元データの有無で価格は変わらない
  • ダウンロードサービスで入手する基盤地図情報とは別。同名の地物(軌道の中心線・建築物の外周線)が両方にあるので書き分ける
  • 基盤地図情報の座標は世界測地系の経緯度(度単位)・小数点以下9桁まで整備だが、9桁すべてが有効値とは限らない
  • 引っかかる注記は5つ — 高さは別作成/建物の極大標高は整備途中/更新日は2次元更新でも動く/公式閲覧ツールは3次元未対応/サンプルは測量に使えない
  • PLATEAUは都市単位のCityGML。全国統一規格が要るときと使い分ける

出典

  • 国土地理院「3次元電子国土基本図」(対象3地物・令和10年度末の全国整備・2次元と別に作った高さを組み合わせている旨・ファイル仕様書/応用スキーマ/メタデータ 令和8年4月1日版・3次元サンプルは二次メッシュ583906(鶴岡)の一部で測量に用いることはできない旨・建物の極大標高は整備途中・更新年月日は2次元のみの更新でも更新される旨・3次元地図可視化サイトの試験公開) https://www.gsi.go.jp/kibanjoho/mapinfo3D.html
  • 国土地理院 報道発表「3次元電子国土基本図の提供を開始!」(2026年3月25日発表・4月1日提供開始・初弾の7道府県の一部・数値地図(国土基本情報)に付加する形・3次元データの有無による価格差なし) https://www.gsi.go.jp/kibanjoho/kibanjoho61008.html
  • 国土地理院「数値地図(国土基本情報)」(統合された内容・4種類の情報・位置精度1/2,500相当以上と1/25,000相当以上・GML形式とシェープファイル形式・2次メッシュ単位・付属資料の性格・等閲覧ツールは3次元データの表示に未対応・2次元側と3次元側のファイル仕様書・測量法第27条第3項および第29条・30条の手続き) https://www.gsi.go.jp/kibanjoho/kibanjoho40027.html
  • 国土地理院「基盤地図情報サイト FAQ」Q.2-1〜Q.2-4(ファイルの種類・JPGIS準拠のXML符号化・提供単位のメッシュ階層・世界測地系の経緯度座標と小数点以下9桁)、Q.3-1(基本項目10項目)、Q.3-4(年4回の更新)、Q.4-12(数値標高モデルの標高はT.P.基準) https://www.gsi.go.jp/kiban/faq.html

本記事の仕様・提供範囲・更新時期は2026年10月時点の国土地理院の公開内容に基づきます。高さの定義と付与方法の詳細は、同院が公開する3次元データのファイル仕様書および「主な仕様と高さの付与の方法」を確認してください。


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開発者より: アプリ・Kindle本・公開プロジェクトの一覧は GitHub: amru195704 にまとめています。


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